<お題01:オッス> |
『オッス!オラ悟空!』 「な〜んて言ってた孫君が結婚かぁ・・」 ・・・カラン。 天下一武道会が終わって、悟空とチチの結婚が唐突にすんで。ようやく家に戻った時に、一気に気が抜けてしまった。 「あたしもヤムチャと最近上手くいってないし・・・」 こりゃ本当に、逃がした魚は大きかったかな。 溜息交じりにグラスの中へとブランデーを目一杯注げば、であった頃の悟空の姿がリアルに蘇ってきた。 『なんだおまえ!!!』 化け物か! そう言うように自分を見てきた、ちっさな子供。 『女って面倒だなあ・・・』 言いながら海賊の洞窟にしかけられた罠で如意棒を伸ばしてくれた。 「全くもう・・・幸せになんなさいよね!!」 まるで母親の気分のように、ブルマはグラスを高く上げて、悟空の幸せを祈ったのであった―――― 「って昔は思ってたなあ・・・・・」 「・・・なんだ?」 マスタールームへ入れば、既に上半身の服を抜いてベッドに入っているベジータが返事を返した。 「え、うん〜孫君が結婚した時の事思い出してただけ。初めて会ったときとか。」 「・・ふん。くだらん。」 ”逃がした魚は大きかった” 当時はそう思ったけれど。 「やっぱ、小さかったわね!孫君とくっ付いてたらあんたとこうなってなかったしね!」 「な!!!ブルマ、お前!」 「ちょっと勘違いしないでよ!あたしは孫君とそう言う風になったことは一度も無いわよ!」 「・・・だったらそう言う言い方をするな!俺はもう寝る!」 すっかりヘソを曲げたベジータが、バサっと自分に背を向けてベッドの中に入っていってしまった。 「・・もう、子供なんだから・・」 『オッス!』 その言葉が全ての始まりだった。 冒険も、別れも、怖さも幸せも全部―――――― 「・・愛してるわよ、ベジータ。」 「・・・俺もだ。」 パチン、とライトを消して、ベジータの待つベッドの中へ潜り込む。 『オッス!』 それは。 懐かしき、過ぎた日の――――思い出。 -fin- |