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<My cheri Amour>



・・・・もぞもぞ。

・・・もぞもぞ。


「ね、ねえ・・・・」


ざぁ・・・・・・・


雨降りの月曜日。


「ねぇ、もう起きなきゃ・・・・」


ぎゅぅ〜〜〜〜〜


ちょうどよく暖まったベッドの中。


も、もう〜〜〜〜っ。


下着もつけてない自分の身体に、悟飯の太い腕が巻きついている。


「き、今日は学会だって言ってたでしょう・・」


ドキドキ、する。

いつだってこの腕の中にいると、恋してるままの自分になる。


「ううーん・・・もう少し・・・」


寝ぼけたまま返事を返す悟飯の声とは裏腹に、ぎゅ、とまかれた腕の強さは増している。


「こ、こら、悟飯くん。起きなさいってば・・」


ぎゅう、とされるたびに、きゅう、と身体の奥がなるようで。


もぞもぞ・・


居心地の悪さに、思わず身体を動かしてしまうのだ。


でもどうやら。


「・・・ビーデル。」

・・・あ。


動いているのが、悟飯はお気に召さなかったようで。


はぁ・・


溜息を、頭の上でつかれて、しまった。


ズキ。

ドキドキが、ズキズキに、変わってしまった。


怒らせちゃったかな、とか。

ちょっと呆れられたかな、とか。


結婚したと言うのに、どうしていちいち反応してしまうんだろう。


・・しゅん。


起きなきゃいけないというのを忘れて、身体から力が抜けてしゅんとなっているのを
気付かれたのか、今度はちゃんとした声が頭の上から落ちてきた。


「ちがうよ。」

「え?」

なにが?

「さっきの溜息は怒ってるんじゃない・・」


はぁ。


いいながら、また、溜息。


「・・うそぉ・・」


ぎゅ、と巻きつけられた腕を握りながら、密着した身体を丸まって離れさせようとすると、
気付いたその腕がグイッとさっき以上に身体を密着させた。


「・・うそじゃないよ。そうじゃなくて、ただ――――」

「・・ただ?」

「・・そ、その。ビーデルが動くと、刺激が・・」


え??


「しげきって・・」

「・・だから、ビーデルが柔かいから・・そこ、が。」


そこ?


そこって・・


「・・・!!!!!!」


ぎゅ、とさっき密着していた身体。

今は、さっき以上に密着している身体。


自分は背中で、悟飯は胸側で――――――――


だから。


自分の背中よりも下の部分が動く、と。


「や、や、やだもう!!!!!悟飯くんのエッチ!!!」

「エッチって・・・ビーデルだからエッチになるん・・・」

「やあ〜〜〜っもう!言わないで〜〜〜!!!」


結婚する前から、こんな風に愛し合ったことはあるけれど。


どうしても。

どうしても。


悟飯の身体が、自分を愛していると反応しているのに気付くと、恥かしくてどうしようも
なくなってしまう。


「・・ビーデル。」


優しい、声。


「ビーデル。」


力強い、身体。


「ビーデル・・・・力、抜いて。」


3回目に名前を呼ばれて、ようやくぷしゅーっと力を抜いた。


「僕がこうやって・・なるのは、嫌?」


嫌なんて!!


ぶんぶん!


頭を振って返事を返す。


「じゃあ・・・いい?」


い、いいって・・・・ええと、あの、その・・・・・


「・・・やっぱり、嫌なんだ?」


ち・・・・ちがっ・・・


「い・・・・いやじゃないわ!た、ただっ・・・」

「・・ただ?」


その、あの、その・・・・・っ・・


「ど・・どう、どうしたらいいのか迷って恥かしくなっちゃうの・・その・・」

「・・その?」

「わたし、を、その・・好きだって言ってくれてるみたいで・・嬉しくて、で、でもどうしたら
わたしのその気持ちを伝えられるのかって・・・」


迷っちゃうの・・


最後はフェードアウトするように、小さな呟きで言葉が消えていく。


やだ、やだ、やだもう〜〜〜〜っ!!


恥かしくて、恥かしくて、汗をかくぐらい顔が熱くなって。


でも。


・・ギシ・・


真赤になった自分の顔の上。巻きついた腕が離れて、ギシっとベッドの音が鳴ったと
思ったら。


「・・あ・・」

「・・バカだな。そういう時はこうしてくれればいいんだよ・・」


あ、あ。


目の前に、優しい口唇が降って、きた。


「・・・は、ぁ・・ん・・・・」


ちゅ・・。


ぷちゅ・・。


優しい、優しい、啄ばむ口付け。


「・・・そのまま愛してもいい時はキスして・・・」

「ぁ・・ん・・・ん、ん・・・・う、ん・・」





ギシ・・・・


ベッドが、鳴る。


ちゅ・・・・


重なる口唇が、奏でる。


ざぁ・・・・・・・


降り注ぐ雨が、こだまする。






「・・・いい?」

「・・でも、今日は・・・」

「まだ時間はあるから・・・・・」



優しく響く声色にのせられて。


「ん・・・」


ぷ、ちゅ・・。


ビーデルは、悟飯の首に腕を巻きつけて、返事を返した。






雨の降る月曜日。


まどろむような、朝の、時間。


ビーデルの上には、雨のかわりに――――



「ごはっ・・・ぁ、ん・・・」

「んん・・っ・・」



愛しい人の、口唇が、降り注がれるので、あった・・・。





-fin-


ええと・・学会へは間に合いました。学者になったばっかりでも学会は行くはず・・多分。
微桃ですいません。ちなみにタイトルはMy cheri Amour 愛しいあなた、とか
そういう感じ。cheriが男性詞(フランス語)ということらしいです。cherieだと女性。
元は有名な曲My cherie Amour、スティービーのタイトルから頂きました。