BACK


<デート


「悟飯くん遅いなぁ・・・」

Bruru・・

カチッとボタンを押して、ビーデルはエアバイクのエンジンを切った。

昨日。学校から帰るとき、明日は映画を見に行こうと約束をして、そのまま別れたのだ。

『10時に東の都でね!』

そう言って、約束したと言うのに。

「遅い・・・・・・」

悟飯は、約束の時間から既に15分遅れていた。

――――と。

「ビ、ビーデルさん!」

慌てて自分の元へと走ってくる人が、一人。

・・もう!

ホッとしながら、緩む頬をム、と直して悟飯のほうへ向かっていく。

「あっ!悟飯くん遅い!!!待ちくたびれたわよ!」

むん、と腰に手を当てながら目の前にたった悟飯を見上げれば、汗だくの、額。

・・んもう。そんなの、見てしまったら。許すしかないじゃない・・。

「いっぱい走ったの?」

クス、と笑いながら腰につけたウェストバックからミニタオルを取り出すと、そっと額の汗を拭き取った。

「す、すいません、その・・・!筋斗雲で来たんですけど、降りたところが遠すぎたみたいで・・・っふぅ・・・」

「・・バカね。」

悟飯の何が好きかといえば、こう言う馬鹿が付く位真面目な所が好きなのだ。

真面目で、真っ直ぐで――――でも、抜けてて。

「悟飯くんの、バカ。」

「・・すいません・・」

「・・・でも、そう言うところが好きよ。」

「!!!え!!!」

「行きましょ、映画!」

ぎゅ、と手を握り歩き出す。

大きな、厚いその手の平を握って―――握り返されて。

「・・・僕も、好きです。ビーデルさんのそう言うところ。」

「!!!」

これから、二人は楽しいデートの始まり、始まり・・・。




(おまけ)





「・・にしても、ビーデルさん、その服・・」

「・・え?これ、可愛くない?」

「可愛いですよ、ビーデルさんは何着ても。」

「・・そ、そ・・・?あ、ありがと。」

「・・・でも。」

「でも?」

「・・・見せすぎです。これ、着てください。」

「あ。」

「僕のシャツですけど。あなたのそういう姿を見るのは二人だけの時、限定ですから。」

「・・・あ・・・う、うん・・」

「分かりましたか?」

「・・わかりました・・・。」

「じゃ、いきましょうか?」

「・・・はい。」




―――と。

会話しているうちに、立場が逆転する二人なので、あった。





(おわり)