<No title>

「はあ。」
孫悟飯はため息をついた。
彼の仕事机には、パソコンが置かれており、その横に十冊ほどの本が積み重なれていた。
机の上だけでなく、本棚には大量の本が並んでいる。

パソコンを打つ手を休め、伸びをする。
仕事がどうも上手く進まない。
でも、やることだけは山済みで…。

そんな時。
トントン。
「あなた、入るわよ。」
ノックの後、ビーデルが部屋に入ってきた。
コーヒーをいれてくれたようだ。
ビーデルが夜、悟飯にコーヒーをいれるのは、結婚してからの習慣だ。

「はい。」
「ありがとう。」
コーヒーカップを受け取り、口に運ぶ。
口の中にコーヒーの味が広がる。
悟飯好みの味だ。

「おいしい。やっぱりビーデルのコーヒーが一番だよ。」
「でしょ。」
あなたの好みは知り尽くしているわ、と言わないばかりに微笑む。

「仕事は順調?」
「不調。あまり進まないんだ。」
悟飯の表情に疲れが見える。

「疲れてるんでしょ?あまり無理しないで。」
夫はいつでも頑張りすぎだ。
見てるこっちがハラハラしてしまう。
「ありがとう。」
悟飯はそう言って微笑む。

コーヒーも飲んだし、もうひと頑張りしよう。
そう思い、悟飯は再びパソコンに向かおうとした。

その時。
ビーデルの顔が近付く。
そしてビーデルの唇が悟飯の頬に軽く触れる。


突然のキスに悟飯は驚き、ビーデルを見つめる。
ビーデルはクスクスと笑っている。
「おまじないよ。これで仕事が進むこと間違いなし。」
自信満々にビーデルは言った。

悟飯はそんなビーデルを見てため息をついた。
「なんでため息つくのよ」
ビーデルは頬を膨らませる。
「ビーデルのおかげで、やる気が全くなくなったよ。」
悟飯はデーターを保存し、電源を切る。

片付け始める悟飯を見て、不機嫌そうな顔をする。
(私のキスでやる気がなくなったわけ・・。)

「今日の仕事はここで終わり。」
悟飯はビーデルの手をとつかむ。」

「ビーデルのキスのおかげで、やる気が全然なくしたよ。」
「えっ?」
ひょいっと、ビーデルは悟飯に抱きかかえられる。
いわゆるお姫様だっこだ。
「だから、今日はビーデルと仲良く寝ることにするよ。」


天野こはく様よりいただきました><!わあーい!またこはくさんの作品が読めた〜!と、戴いた時はウハウハでした。結婚後の二人のやりとりですよ!うわーうわー!
『君のおかげ』と心の中で勝手にタイトルを付けつつ、ニヤニヤしつつ・・・・(笑)
こはくさん、本当にありがとうございました!元気になれました☆☆