[ ロマンス直前 ]



「おぅ、っはよーやんくみ!」


「おはよう!」


「お前、今日も職員会議遅刻なんじゃねぇ?」


「ばっ、バカにすんなよ!今日は大丈夫だ!」


「ホント、お前って落ちつかねぇよな〜?」


「・・・・・なにぃ!?」


「怒んなって♪」


「お、怒ってねぇよ!お前こそ朝からあんぱんよく食えるな・・・」


「うっせ!」




――――――いつもの、登校風景に溶け込む自分。


色んなことがあって、3−Dの連中と絆が深くなった自分。


でも・・・・・・・・・


「・・・・・・なんだよ。」


「い、いや?!」


他の連中を見ても何も感じないのに、コイツの顔を見るだけで―――・・・・


ギュ・・・・・・・


胸が、痛くなるのはなんでなんだろう。




早く答えを見つけたい。


この切なくなる胸の痛みから解放されたい。


時々、夜涙が出そうになるくらいの切ない思いを開放したい。



だから、決まって朝コイツに会うと―――



「なぁ・・・・・・・」



口を、開くのだけど。



「あ?」


朝日がまぶしい、というような顔を見るだけで、心臓が跳ね上がって。


「・・・・・・いや、なんでもない・・・」


結局、ごにょごにょと誤魔化す事になってしまうのは――・・・


なんでだろう・・・・・・・



早く、早く、誰か教えて。


この、切ない思いから、早く助け出して。




「・・・・変なヤツ。」


言いながら、ポンと後頭部を軽く叩かれて、学校いかねぇの、と促される羽目になる。


「行くよ、行く行くっ!!」



・・・・・・いつか、この気持ちが何て言うものなのか分かる日が来るのだろうか。



それを、教えてくれるのは―――・・・・・・・・・・



「・・・・・は?」


「あ、いや・・・・・・・・」



・・・・・目の前の・・・・・・沢田、だと良いな、なんて・・・



思っちゃうのは―――・・・・・・・なんで、なんだろうか・・・・・・・・・・・・。




こんな気持ちに気付いてから3週間後に、まさかはっきり分かる日が来るなんて。




今はまだ、誰も知らない。




決戦の、あの日までは、後もう、少し。



*fin*

ずーっと前にこのSSSを書いていたのをすっかり忘れてました。『ロマンスの卵』の前にあたる話になります。
初・片思い?久美子なお話しでしたが、いかがでしたでしょうか-っ。やっぱり片思い、いいですね・・!
この、触れそうで触れ合えない距離感とジレンマがなんとも恋の醍醐味を物語ってますよね・・・!
て、力説するなって感じですネ!(笑)。 ここまで読んで下さり、ありがとうございましたv
また次回新作にてお会いできましたら〜v