[アナタと一緒。]



「・・なぁ・・・・慎。」


「・・・・・・ん?」


キシ、とベッドのスプリングがきしむ。


自分の頭の下には硬くてしっかりとした腕がしいてあって。


そこに、黒くて長い髪が絡まりはねる。


「・・・なに。」


返事と共に、慎の指が、くしゃ、と、乱れた髪を戻すように、かき上げる。


いつもとは逆の行為。


昼間は、自分が他の生徒や――この、目の前で自分を包み込む男にしているのに。


夜になると、途端、立場が逆になる。


視線を慎の顔まで上げると、いつもの、片眉を上げた――『なに?』と言った顔があって。


フワ、と鼻を掠めるいい匂いが、してくる。


「お前、いい匂いするなぁ・・・・香水でもつけてるのか?」


たった今まで、汗をかく行為をしていたというのに。それを、感じさせないほど、いい匂いがする。


「香水・・?つけてねえけど。」


不思議そうな、慎の声。


「ん〜・・?そっか?でも・・・ほら。」


ぐぐ、とそのまま体を起こして、慎の首もとに顔を埋めて匂いを確かめる。


「わ、バカ。やめろって・・・!」


そういいつつも、自分の体を押し上げてはこない。


うーん・・・・・・・?


香りの元を確かめてみる。首筋・・・の、ような気もしたが。


あ。


匂いを、たどれば。


「髪の毛だ・・・お前、どんなシャンプー使ってるんだ?」


髪に、顔を埋めていくと、いつも香ってたその匂い。


「どんなって・・・普通のだけど。」


「ふーん・・・」


クシャ、クシャ、クシャ。


指の間に髪を絡ませながら、そのまま唇も額に、瞼に、鼻先に。


「ん・・・何。珍しいじゃん。」


に、と笑う慎の顔。


世界で一番、好きなその笑顔。


だから、たまには。


「・・・いいだろ?あたしだって、お前のこと好きなんだから。」


ちょっと、ビックリした顔も見てみたい――――から。


そんな風に、本当の気持ちをちょっとだけ言うと、案の定少しだけ目を見開いて。


「へぇ・・ホント、珍しぃな。なに、どうかしたのかよ?」


でも、すぐにまたあの笑いに戻って。



そんな、じゃれ合い。


ベッドの中でしか出来ない、特別な、睦み合い。



「なぁ。その、シャンプー・・何使ってるか、教えてくれよ。」


そっと、耳元で呟いたその言葉に。


「・・・いいけど。久美子に教える事も無いと思うけど。」


「え?」


「だって、俺のこれ・・お前と同じモノ、使ってんだぜ?」


「えっ・・?」


ちょっぴり、今度はこっちが驚かされることになる。


「いつから・・・・?」


「んー・・・・忘れた。」


「ええー?!何で、忘れるんだよ!ホントは、憶えてるんだろっ!吐け、吐け!!」


「いてぇよ、止めろって・・・!ははっ・・・」


バシバシと慎の胸元を叩きながら。そのまま、ギュッと抱きしめられながら。


「慎っ・・んん・・・・っ!」


深い口付を何度となく求められて。


「お前が、好きだって気付いた瞬間から・・・・・・」


自分の黒髪に顔を埋めながら、照れた口調で言われたその言葉。


「・・・お前、あたしにメロメロだな?」


「・・・・バーカ。」


「ふふっ・・・」



止まる事のない、裸の、睦み合い。


夜の、間だけは――・・




そして、また。


「おい!お前ら遅刻すんなよ!!!!」


「「「「おーっ!!!」」」」


朝が、始まり。


「なあ・・・やんくみって、いい匂いするよなー」


「あ、俺も時々そう思ってた。なんか香水とかつけてんのかあの女?」


「「「「なぁ慎、知ってるか?」」」」


「・・・・・・・さぁな?」



授業が終わると。



「おい。」


「ん?なんだ、沢田。」


「お前、シャンプー変えろ。」


「・・・・・へ?」


――また、夜へと繋がる出来事が、一つ一つ、増えていくのであった。




仏頂面をしてそう言った慎の真意をしるまでに。


久美子に与えられた時間は、あと、1時間と、ちょっと・・・・・・・。




*END*



ス・ラ・ン・プ突入☆えへVv ・・・・なんて、ごまかしも聞かないほどスランプ突入しました、アイコです。
24時間TVを見つつも・・お風呂に入り、ふと思いついたこのネタです。なんとなく書けたので、取り急ぎUP・・!
ていうか、お約束ですかね、シャンプー。でもなんか、Hくさくていいですねv(オイ)。ていうか、恋人同士で同じ匂いになったらばなんか最高。とか思っちゃうのは私だけでしょか(汗)。一緒で、安心する気がして。そんな感じで・・書いて見ました!ではでは、ここまで読んでくださってありがとうございましたVv また次も早くかけるようにスランプ脱出試みますVv



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