[VALENTI]


いつも、思ってた事がある。


いつも、不思議に思ってた事。


「・・・・・・・どして、あたしだったんだ?」


スゥ、と静かな寝息を立てて、隣に眠る恋人の髪をいじりながら。


そっと、一人呟いてみる。


静かな部屋に、響く声。


起こさないように。


でも、確実にその言葉は自分の口から発せられて。


「・・・最初は、そんな気持ちでお前と顔をあわせてたわけじゃ・・なぁ・・?」


・・・・なんでかな。


いきなり、ぐっと手を引っ張られたように、突然始まった恋。


走り出した、情熱。


その時、繋がった二つの指先から火花が散りだして――今。


自分の、未来はこいつ無しじゃいられないほど、もう巻き込まれている。


「あたしは、任侠一家の孫だし。年上だし。お前の先生だし・・お前にとって、色んな障害背負ってんだぞ。わかってんのかよ・・・・。」


ポスっ・・・


起き上がっていた半身を、再びベッドに埋めこむ。


目の前に、目を伏せた慎の顔。


綺麗で、それでいて・・・・怖い。


一度愛を知ってしまうと離れられなくなる。


離れるのが・・・怖くなる。


一緒にいたい。でも迷惑はかけたくない。


二つの、ジレンマ。


これが、惹かれあう前だったら――・・どんなことをしても、自分の気持ちは殺していた。


でも、もう、二人疾り出してしまったから。


「・・・責任、取れよ・・・・・・・・なんてな。」


コン。


軽く、慎のおでこに指をぶつけて、冗談でそう呟いた。


本当に、思ってるわけじゃない。


重荷はのせたくないから。


ふ・・・・


起きる気配の無い慎に、ふと笑みがこぼれる。


守りたい。何があっても。


この、幸せな寝顔を。


「あ・・汗かいてる・・・」


ス、と慎の髪をかき上げる。


子供のように、眠っている時は高い体温で、なんだか心地いい。


「・・・前言撤回。やっぱ・・一目惚れかな。」


ふふ。


静かな部屋に、響く自分の声。


自分に言い聞かせるように・・・・


疾る道を確かめるように――・・・


フ、と訪れる、静寂の闇の中。


まだ時間も早いし、寝ようか・・・と、再びカサリと布団を被ると、
眠っていたと思っていた慎の唇から言葉が漏れる。


「・・責任・・・・取るから。」


えっ・・・


「だから・・・一人で、思い込むな。二人で・・・色んなことに戦っていけばいいだろ・・」


目をつぶったまま、慎がそう呟く。



二人で・・・・・・・・



その言葉が、何よりも嬉しい。


言葉だけだとしても―――もう、何もいらないくらい。


「・・・・・上っ面の言葉じゃねぇぞ。本当に、お前を守るって・・決めてんだ。」


「し・・・・・・っ」


見透かされてしまったのだろうか。


そう言われると、そのまま、ぐぅっと抱きしめられる。


窒息しそうなほど、心地いい慎の胸の中。


何時から起きてたんだ・・・・・・・と言おうとすると。


「・・・・おい・・・」


次の瞬間には、また眠りについていて。



「・・・・・・ふふっ・・・・バカ・・・」



いつも、欲しい言葉をくれるから――――・・



どうして出逢ったのか、なんて。


どうして自分なのか、なんて。


愛しさの前には、全て、無駄な、言葉。


そこに要るのは、そんなモノじゃなくて――・・






「あたしも、寝よ・・・・」


慎に抱きかかえられながら、再び自分も眠りつく。


夜が明けるまで、心地いい体に支えられて。


再び・・幸せな、夢を。






そして、また。







「山口先生!!!!」


「やんくみ!!!!」


「お嬢ー!!!!!」




新しい、朝が来る。




「ぅしっ・・!今日も、頑張るぞ!ファイトー・・オっ!」




山口久美子、とりあえず最初の課題――『卒業』を目安に、頑張ります!




恋して愛して戦って。




戦う女の悩める日々は、まだまだ続く。




でも、本当に、そんな日々がまだまだ続きそうなのは。





「・・・・俺が守るって言ってんのに・・・・」




実は恋人の方だったり・・・




「おっはよぉ〜!!!」




するのかも、しれない。










*オワリ*



なんとなく、色んな意味で戦う女・山口久美子を書いてみたくて。超自己満足SSです><: しかも、スマセ・・BoA好きです。タイトルからももうアレですね。。内容もね。。。なんとなく、こんな感じで久美子も突っ走ってもらいたいなー・・とかね。ちなみに、VALENTI とは、『勇敢』という意味です。
あわあわ。また墓穴ほっていっているので、コレにてアトガキ終了で(汗)。 ココまで読んでくださり、ありがとうございました><!
 次回は・・次回は・・・ま、またすぐに!(今度はラブラブなものを・・!) あ、そして背景が写真で、見えにくくてごめんなさい!寝ながら、にイメージが近い写真だなぁーとか思って・・思って・・・・!!(逃)


(ブラウザバックでお願いですVv)
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