[ 心の鏡 ] |
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「はぁ〜っ・・・・・・・」 ため息をつく、日曜日。 ペタ・・・ モゾモゾ。 「はぁ〜・・・・・・。」 ペタ・・・・ 両手をその胸に置いて、大きくなってないな・・と言う意味がこめられた、その溜息。 街を見渡せば、今時高校生でもはちきれるくらい大きくて。 そのくせ、そんな子供たちよりも年上の自分の胸は――・・・ 「あーぁ・・・。」 しょぼんとしてしまうほど、小さくて。 思わず、溜息が出てしまう。 ムニ。 自分で、大きくなるかな、とちょっとだけ掴んでみたりもするけれど――――・・ 自分の手に、ちょうど納まるくらいのその胸に。 「はぁ・・・・・」 誰に対してなのか分からない敗北感が襲ってくる。 「せめて藤山先生くらいあればなぁ・・・。」 「・・・なにが。」 「うひゃぁっ!?」 突然後ろからかかった声に驚いて、パッとその手を後ろに隠す。 「お前さっきから何やってんの?」 ドキ、ドキ、ドキ。 や、やばい・・・・! そういえば。 ここは、自分の家じゃなくて。 昨日泊まった――慎の家で。 洗面場に顔を洗いに行ったついでに、鏡でみた自分の体に思わず集中してしまったのだ。 「あ、や、な、なんでもないぃ・・・」 まさか。 『胸がちっちゃいから悩んじゃったv』 ・・なーんて言えるわけもない・・。 だって。 言ったら最後、その後は絶対に――――・・・・・ 『大きくしてやる』 とか何とか言って、結局またベッドに戻されてしまうような気がするから。 ・・・・・そ、それは絶対止める、ってあたしこの間決めたんだ! ガッツ、と一人心の中で拳を作り、先週泊まった日にそう決めた。 いつもいつも慎の家に泊まった翌日も――ずっと、ベッドの中にいることが多くて。 それはそれで、本当は大好きなんだけれど・・・でも、それだけじゃなくて、 一緒に買い物に行ったりもしたい。 ・・・見つからないように、コッソリと、だけど・・。 でも、そのコッソリというのがまた――――・・不謹慎だけど、何だかスリルがあって。 二人だけの秘密、二人だけの時間、というのを改めて思える事が出来て――・・・・ なんかちょっと・・・嬉しかったりするんだよな。 なんて思って。 今日は絶対、二人で出かけると決めたから。 なんでもない、といって、慎の脇を通り過ぎようとした、けれど。 「・・・ちょっと待てって。」 ガシ。 その体を、慎の腕一本で押さえ込まれてしまう。 男と女の体の違い。 「ひゃっ・・・・!」 易々と元居た位置に抱き上げられて、戻されて。 「・・・・う・・・。」 鏡に映る、抱きしめられた自分と慎の、姿。 「・・それで?何やってたって?」 ニッコリと笑いながら、鏡越しに問い掛けてくるその姿。 ・・・・・・うぅ・・・・! 「・・・・何でもない。」 負けじと鏡越しに睨みながら言うその言葉にも。 「・・ふぅん?」 ――ハッキリ言って、全然動じてなんかいない。 パ、と顔を背けても、鏡が目の前にあるから―――どうしても、視線を感じてしまって。 ・・・・う、わぁ・・・!! だんだん、段々、恥かしくなってくる。 「お、おまっ・・・鏡使うなんて卑怯だぞ!あたし、戻・・っ・・」 そう言って戻ろうとしても。 ギュウ・・・ 「ダメ。」 「・・・・・・・っ!」 抱きしめた腕と、その声が戻してくれるワケは、ない。 ・・正直に言うべきか、言わないべきか。イヤ、今の状況からして言わないべきが正しい 選択なのだろうけど――――・・・ 「・・・・・・・っ・・」 鏡から慎の熱い眼差しが、その判断を狂わせていく。 ドキン、ドキン・・・ どんどんどんどん、高鳴る鼓動。 鏡で見なくてもわかるくらい、自分の頬が上気していくその姿。 まるで、まるで。 自分でも気付かない、心の奥にある欲求が――・・映し出されているみたいで。 ・・・・ハ、恥かしいっ・・・!! 「・・・ずるいぞ、お前っ・・・!」 「・・何が?」 まだまだニッコリとしている、慎の顔。 ・・・・うぅ、見るなよぉっ・・・! 「だって・・・だ・・・っ・・・!」 ギュゥ・・ だんだん俯いた自分を、回された腕がもっと締め上げていく。 この腕に、いつも惑わされる。 背中に当たる体温に、鏡越しからでも強さを失わない眼差しに――いつも、いわないで 置こうと思った事も言わせられて。 ・・・・・・・ほんと、ずるい。 「・・・久美子・・秘密は、なし・・」 ・・・・ひゃっ・・・! 耳元に当たる、吐息と声。 そのくすぐったいような――甘い感覚に、目を瞑って首を縮ませてしまえば、もう――・・ ・・・・も、ダメだぁ・・・・。 「あの・・・呆れないか?」 俯きながら、顔を真赤にしながらボソッと呟いたその言葉。 「・・・ん?呆れねぇよ・・」 鏡を見てないから分からないけれど、言葉だけでも分かる――・・きっと今優しい表情を してそう言ってくれている。 「あのな・・・・・あたし・・・・・・・・・」 「うん?」 結局今日も、その眼差しに負けて全てを話すことになってしまっていて。 「・・・・・しょうがねぇくらいバカだな、お前・・。ンなことで悩んでンな・・・」 はぁ、とため息をつく慎の姿に。 「お、お、お前っ!やっぱり呆れてるじゃねぇか・・・!こっちは真剣に・・・!」 まんまとその罠にはまっていく自分。 「・・俺はそのぐらいでイイけど。でも・・悩んでるなら・・・もっと早く大きくなるようなこと、 今からする?」 「・・・・・・・っ!!」 最終的には――――・・・・・・・ 「・・今日はここでしよっか?」 「・・えぇっ!ここって・・・だってカガっ・・・!」 「・・・見ながらするのもいいだろ?」 「・・・!!!!!!!!」 今日は一日、鏡の前――ではなくて。 今日も一日、ベッドの中で過ごす羽目になってしまったので、あった。 「ふぇえん・・・・・」 「ンな、泣くなよ・・・酷くしてないだろ?」 サラ、と優しく頭を撫でてくれる慎の優しさに、一瞬懐柔されそうになるけれど。 「・・・今度は絶対しないからなぁ・・・!」 「・・・楽しみにしてる。」 本当に楽しそうに優しく笑った慎に勝てるのは――――・・・・・・・・ くそぉっ――・・・・!!!!! まだまだ先のことなのかも、知れない。 とりあえず。 久美子の願いがかなって、二人でデートな一日の話は――・・・ 「・・・久ー美ー子。泣くなって・・・」 「・・・うえぇん・・」 ・・・・また、別の、お話し・・・・。 *END* |
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えー・・そんな訳で、ですね。復活後の作品なんですけど・・ホント、スミマセン。わけわかりません、私も(汗)。日記で叫んだとおり、書けなくなってましてですね・・ええと、リハビリと言う事でこの話を・・書きました。ハイ。ラ・・ラブラブな話がかけない・・・(汗)。 これからも頑張ります><; 気ばかり焦って文字がついていきませんー; あっ。しかも連載とか言っておきながら、短編を書いてました。あらら・・・・約束破りでゴメナサい・・; これからも宜しくお願いします―――><;; で、では!(逃走。。) |