[ 時を止めて。]



「あ・・・・・綺麗。」


澄んだ冬の夜。大切な人と手を繋いで歩く、散歩道。


「・・・・ん?」


優しい顔をして、こっちを向いた彼の顔は星明りに照らされて、いつもよりもずっと優しいものに思えてくる。

・・・・・・好きだなぁ・・・。


ふと思う、その瞬間。


今――幸せに一杯になったこの時が、止まればいいのに。


「なんだって・・・・久美子。」


ヒョイと顔を覗き込んできた慎に、そっと―――――・・・


「・・・あのね・・」


思った事を、呟いた。



どうか、このまま時が止まりますように。


今日も、明日も・・・・この先まで、永遠に・・・・・・


今日は眠っている月にそっと思いを寄せて、思いを告げた先の相手から囁かれる言葉を、ジッと待つ。



「・・・・・不安?」


くしゃ、と頭を包まれて、そのまま胸に抱かれた。


「違うけど・・・・」


言いながら、そっと顔を上げれば――――・・・・・


月は眠っているはずなのに、星の煌きが目の前を眩しい位に瞬いていた。


「ずっと守っていくから・・ンな顔、するな。」


・・・・・やっぱり、どうか時を止めて。


ニッコリ笑ってそう言った、慎の顔に思ってしまう。



空気が澄んだ夜は、不安になって。


星が瞬く夜は、子供になって。


月が眠る夜は――――・・・・・・・・・


「うん・・・・・・・」


いつもよりも、ずっと、素直に・・・・・・・・・



星の魔法がかかった冬の散歩道。


「・・・帰ろうか。」


「うん・・。」


夜だけにしか見えない愛という綺羅火を身に纏って、二人にしか見えない光の道を、
静かに、ゆっくりと――・・・・・・・・


永遠に向かって、歩いて行く。


優しい、二人の――・・物語。



--END.


日記に書いたSSSを、UPしてしまいました(汗) ・・・あんまり作品的にはあれなんですけど・・一応、あの、UPしようかなー、とか;
綺麗な文字を単語を使いたくて、このお話しを思いつきました。いつものポップな感じの話とは全然違いますが、こういう話を書くのも大好きです。しっとりとした夜に・・・如何でしょうか(汗) あ、ダメ?