[ Lovin' you ]



「おーい、さ・わ・だ!」


・・・・・・・・・あ・・?


コツコツ、と額を優しい指が叩いてくる。


薄く目を開けると、キョトンとした顔で、覗き込んでいるアイツの顔。


屋上に出ると、物凄く眠くなって、いつもいつの間にか寝てしまう。


少しの間の、至福のとき。


でも、ホントは。


「こ、ら!いつまで寝てんだ?」


今度は、しゃがみこんで自分を覗き込んでくるアイツの姿が、可愛くて。


・・・・・・なんていうんだ、こんな気持ち。


ずっと、立ち止まる事なんてない、この気持ち。


好きなんだ、本当に。


好きで好きで、たまらないんだ――久美子の、事が。


「・・・・・・だりぃ。」


そんな気持ちとは裏腹に出る、この言葉。


・・・たまには、俺だって恥かしくなる時くらいあンだよ・・・。


なんて思ってると。


ビシ!


「いって・・・・!!!!」


容赦ない、先生としての久美子のデコピンが飛んできた。


「お・き・ろー!」


・・・・うぁ、うっせー・・・!


耳元でかかる大声に、思わず耳を塞ぎながら上半身を起こせば。


「・・・んふふ。起きたかっ?」


してやったり、と満足げに笑う、久美子の姿。


・・・・・ちぇ。


そんな姿も表情も、好きで好きでしょうがねぇんだけど。


でも、やられっぱなしじゃ悔しいから。



「オイ・・・・・・」


「え。うわぁっ・・・!」



泣かせる時もあるけれど。


フワ、と舞い上がるこの風のように、全てを追い越して・・・守るから。

お前よりも、俺の方が・・・気持ちは強いはずなんだから。


だから――・・・いつまでたっても、この気持ち、色褪せてなんてやらねぇからな。



「ん、んぅ〜〜〜・・・・・っ!!ぷぁっ・・!」


「・・・・なんだ・・終り?」


「ば、ばかー!!!」



・・・・・だからお前も、見失うなよ。


俺の、事――。



少しの間だけ、触れた口内。


突然の口付に驚いたのか、子供のように真赤になって、久美子はその場を駆け出して。


バタン!


大慌てで、屋上から脱出するただ一つの扉へと、姿を消していった。


「ははっ・・・・バーカ・・・いつもしてんのに照れンなって・・」


・・・・・たく。


「・・・・ぅー・・んっ。」


グ、っと伸びをして空を仰げば、小さな雲だけが残る、まっさらな青空がどこまでも伸びていて。


「じゃ・・・・戻る、かな。」


ボソ、っと呟いた声は、雲の彼方へと消えていく。


「・・・・♪」


滅多に出さない、音楽を口ずさみながら――慎も階段下へと歩みを進めたのだった。


・・・・Lovin' you,,,,,,,,,♪


あなたへの思いを愛の歌に託して・・・・・・。


・・日記SSS、第5段目です(汗)先にあげた、「時を止めて」と同じ日にかいた、それです;実際、慎は歌とか歌うんですかね。あ、でもドラマでカラオケボックスにいたなぁ。 ちなみにこの曲は、Misiaのアルバムを聞いてたら無償に文にしたくなって書いた話でした。月星と来て、青空と雲を掛けた話にしてみたり・・・特にシリーズではないですが、ちょっと書きたくなりました。自然の様子を絡ませて。
・・・・拙い文、失礼しましたー
(汗)!