[ Tea For Two ]



「ん・・・・・・・」


休みの日。


音を立てないように、寝息を立てる久美子の横を抜け出れば――――


コポ・・・


静かに、キッチンでお湯を沸かし始める。


カチャ、と手の中に収まるのは、コーヒー・・じゃなくて。


『Assam』


そう書かれた、葉の缶とティーポット。


・・・・いつからだったんだろう。


いつの日か、久美子がコーヒーを苦手な事を知ってから。自分は、逆に
紅茶が苦手だったけれど――――・・・入れ始めて。


一人でいる時に飲むと、美味しいとは感じない。


でも、こうして目の前に久美子の笑顔と紅茶の湯気が絡み合えば――


コク・・・


喉に流し込む度に、幸せな味が心に流れ込んでくる。


「なーに・・・・?」


ニコ、と久美子が微笑む。贅沢な、朝の、時間。


「・・・・美味しい?紅茶が?」


「・・あぁ。」


「・・・何か入れてるのか?」


自分にも入れてよ。


そう、言っているように手に持った紅茶のカップを覗き込んでくる。


・・・・バーカ。


「・・・秘密。」


「えー!!ずるいぞ、ケチ、慎、こらっ!教えろってぇ・・・ん!」


暴れる久美子に甘い口付を一つ落として大人しくさせれば。


「・・・まだ、寝てよう・・」


「・・ん・・・エッチ・・・・」


「・・・ばぁか・・」


「ふふ・・・・」


朝の訪れを、もう少し遅くする言葉を呟いた。



・・まだ、教えてやらない。


手に持った紅茶を、もっと美味しくする秘密―――――


それは・・


「・・・何にもいらねぇんだ・・お前がいれば。」


「え・・・・・・・・?」


「・・・何でもないよ。」


「・・・・・・変なの。」



―――ただ、それだけ。


久美子が傍にいれば――・・苦手なものも、甘く、変るから。


だから・・・・・


「・・・傍にいろよ・・」

「・・・うん・・?分かってるよ・・・?」



少し遅い朝――――・・


高い光が二人を包み込む、その時まで。


今日は、ゆっくりと・・・二人で、いよう。


「んんっ・・・・・」


甘い声が響く部屋。


あと少しだけ、夜の、ままに・・・・。





*END*

 何となく、書きたかったので・・UPしちゃいました(汗) 短いですね・・・!スイマセン!しかも、元ネタは再び歌なんですが。タイトルと同名の歌からイメージして、書いてしまいますた・・・!柔かい朝を感じたいなーと思いつつ書いたものです・・(汗) そ、そんな訳で・・・・逃走ー><!