[男のこだわり]
「・・・なあ、慎。」


「・・あ?」


ワイワイ、ガヤガヤ。


陽のあたる教室の中は、いつでも騒がしい。


そんな中、真剣な様子で話し掛けてきたのは――野田で。


・・なんだ?


不思議に思いながら、その話の続きを促していく。


「・・・何。」


「こんな事慎に言ってもしょうがないんだけどさ〜・・・女ってさ。なんで、あんなに占い好きなんだろうなー・・・・・・」


「・・は?」


「ほら、運命とか、赤い糸とか・・恋愛運とかさ。」


「あぁ・・・・」


「だって、聞いてよ!この間静香ちゃんをデートに誘ったらさ、俺は『運命の赤い糸の人じゃないかも
しれないわね』なんて言いやがって断わってさぁ〜!!ねぇ、どう思う!?」


・・・・・赤い糸、ね。


そういえば。


この間、久美子も――――・・・・・




「・・・何見てんの。」


家にきた時、珍しく真剣に本を読んでいたから。


チラ・・・


その、中を覗き見しようと、したのだ。


でも。


「わぁ!!バカ、見るなよ!!!!!!」


・・・・・ム・・。


思いっきり、拒絶された。


しょうがないから、少し距離をとって本を見る久美子の顔をジッと見つめていれば――――


ニヤニヤしたり。


顔を赤らめたり青ざめたり。


・・・・一人百面相かよ。


そう、思ってしまうほど、コロコロと表情が変っていく。


最初は、自分も本に没頭しようと思ったけれど・・・・どうしても、目に付いてしまうのだ。


「・・・ふふ・・・」


幸せそうに、微笑むその表情が。


・・・なんっか、気にいらねぇ・・・・・・


まさか・・・誰かの写真集・・・!?


一瞬、その考えが頭をよぎるけれど。


・・・違うな。文字ばっかりだったな。


さっき、チラッと掠めてみた時を思い出して、その考えはすぐに却下された。


―――だとすると。


・・・一体、何なんだあの本・・・。


本当に、何なのか気になってくる。


あの大きさから言って、あほらしい週刊誌ではなさそうで。かといって、自分が知っているほどの
小説誌や単行本でもなさそうだし。


第一、小説にしては薄っぺら過ぎる。


・・・・・よし。


ソソ・・・・・


久美子に気付かれないように、そっと、そっと、後ろに回りこんで――その、内容をそーっと見て、見れば。


『これであなたも運命の人と出会える!』


とか。


『気になる?今の彼との赤い糸の繋がり方』


とか。


・・・・・・おいおいおい・・・・・。


あまりにも思い描いたものと違うタイトルの見出しに、少し呆れつつも。


・・・ていうか。


フと気付いた事に、再びムッとしてしまった。


・・・・つーことはつまり、あれか。占いを信じるくらい・・・俺の事、信じて無いってわけか。


・・・ふーん。あ、そ。そう言う事を思うわけね・・


「・・・・楽しそうだな、それ。」


「おう、これ藤山先生に借りて・・ってわぁ!!!」


ギョ、とした久美子を片手で押さえ込んで、パッとその本を取り上げる。


よくよく中身を見てみれば――――・・・・・・


「・・・・のやろ・・・」


もっと、自分の怒りを増長させるような事が書いてあって。


「・・これ、信じてるわけ?」


だから。


意地悪を、しようと、思った。


「あ、そ、その・・・え・・えへvだって、女の子はみんな占いが好きなんだよ!その・・あの・・好きな人がいても!」


「へー・・・・ふぅん。じゃ、これも信じてるわけだ。」


ピタ。


指で、指し示したのは――――・・・・・・・・


『これで分かる!あなたと彼のSEXの相性!』


・・と、書いてある、それ。


「・・ええええっ・・・あ、いやそれはその!」


「・・・へぇ・・これ、やったんだ?」


ボン!


久美子の顔が、見る見るうちに真っ赤に染まっていくのが分かる。


「やや・・・やって・・・・・・」


「やったんだろ?」


「・・・・・・はぃぃ・・」


「・・で、結果は?」


「・・その・・・C・・・。」


C。


チラ。


久美子の消えそうな声から聞こえてきたその答えを、見てみれば。


『あなたと彼のSEX相性度は40%。たまにはあなたから積極的に〜・・』


など等云々と色々書いてある。


・・・・・40%?


これはただの占いで。


本当にお遊び程度のものだけど。


・・・・・見てもねぇのに40%とか言うんじゃねぇよ・・・


その言葉に、ますますムカついてくる。


「・・・・・積極的に、だって。」


「・・・・あ・・その・・・」


「・・・で?お前はどう思うわけ?本当に40%とか・・思ってんじゃねぇよな。」


「えっ・・・・・!?」


「・・どっち。」


「あ、や、その〜・・・・!」


ジリ。


少しづつ、追い詰めていく。


「・・どっちだよ。答えようによっちゃ・・分かってるよな?」


「・・・・!!!ええっ・・あ、ぅー・・・そんな!言えねぇよ!どっち言ってもお前、お前・・・・!
・・ていうか、ち、近づくなよ!」


ジリ、ジリ・・・・・


「・・言えねぇ?ふーん、そ。じゃあ・・実戦してみるか。」


ガシ。


腰をその腕に捕らえて、首筋に顔を埋めていく。


「・・・ひぇっ!や、腰掴むなって・・実戦って・・その・・今日は本見ようよ、本・・・・んゃっ・・・!」


「・・やだ。本はいつでも見れるけど・・お前のその姿はいつでも見れねぇだろ・・・・」


「い、いつでもって・・・・そんないつでも見せてたら・・っ」


「・・・・見せて、久美子。」


ソ・・・


吐息をかけながら、引き寄せた久美子の耳元に、甘く囁けば。


「・・バカ・・もうっ・・・・!」


意地悪に追い詰めて言葉にさせた、久美子の甘い返事を手にすることに成功したので、あった。




―――・・なんて、事を思い出した。




「・・・な、野田。」


「ん。」


数分間考えていると見せかけて、そんな事を思い出しながら―――野田に、アドバイスをしていけば。


「運命の赤い糸とか・・男にはよくワカンねぇけど。」


「・・うん。」


「好きって気持ちがあればいいんじゃねぇの?占いとか、関係ねぇだろ。」


「・・へ?」


「だから――・・・頑張れよ、って言ってんの。」


「・・・!し、慎〜〜〜!!!!!ありがとう!!」


ギュ!


感謝を込めて、手を握られた。


でも。


・・・・一番こだわってるのって、実は男なんだよな・・・・・・・言わねぇけど。


身を持って体験している慎は、コッソリと心の中で思っていたので、あった・・




ちなみに、久美子のほうは、といえば。


「藤山先生!」


「・・・え、なになに?」


「・・・あの・・これっ・・お返しします・・・!」


「あら。まだ持っててもいいのにー。」


「いえ!お返しします!あああ・・ありがとうございました!」


真赤になりながらその本を返しつつも。


「じゃあさ、今度これやってみてよ!結構当たるって評判だからv」


「えっ・・・!!!!」


再び、静香の甘い誘惑にのって、新たな占い本を借りてしまう羽目になっていたので、あった・・。



その後どうなったかは――――・・・・・・・・・・


また、別のお話しと、言う事で・・・


再び、日記に書いていたものをほんの少しだけこう・・文字を変えたりしてこちらにUPしました。
最後が日記と変っているのは、ちょっとまた久美子編で書きたいなぁ、って思ったんで・・・!
占いって、本当に私は大好きなんですよ!マニアです、まニア・・ムフフ。毎日の星占いとか、一週間の占いとか、月間の占いとかそりゃもうヤフーの星占いから全部見てます(笑) あと雑誌のとか・・・・・ やっぱり、女の子は占い好き、って事で・・・多分(笑) そんな事を思いながら書いた訳じゃ・・ないんですよ本当は!! 久美子編でそのところを出せればいいなー、とか思ってます・・・!

ココまで読んでくださり、本当にありがとうございました〜〜><! 色々ありますが、次回も頑張りますvでは、ではーv