[たとえばこんな帰り道]


「あーっ!!!!!」

「・・・・・なんだよ。」

・・耳いてぇ。

授業が終わった帰り道。

別に待ち合わせてるわけじゃねぇけど いつも二人で帰る道。

唐突に久美子が声を上げた。


・・・・・なんだって。


声を上げっぱなしで自分のほうへは説明も無しな久美子の
視線を辿っていけば。


「・・・・・マジ・・・」


一台の、簡易写真機――――もとい、プリントクラブと書かれている、それ。


「・・・・・・沢田っ!」

「・・・・・・・・・。」


キラキラキラと瞬くその瞳が何を言おうとしているのかは痛いほど自分に伝わってくる。


・・・・い・・嫌なんですけど俺・・・・・・・・


ハッキリ言ってこの手の軟派なものに振り回されたくない考えの俺


で も


「・・・・撮るの、ヤダ?」

「・・・・・・・・っ!!!」


しゅん、とされて小さくて可愛い兎のように首を傾げられたら・・


・・・・・はぁ・・・・・・。


「・・・・・いいけど。」

「・・・・ぃやたっ!!」


色んな疼きを溜息に変えて YES と言うしかないのは分かってくれンだろ?


「ね、ね、早く行こうよっ!」

「・・・・あぁ。」


ズリズリと引きずられてカバーの中に入った俺達。

だけど、お前、みてろよ。


『じゃあ 撮るよー! イチ、ニーィ、サン!』


グイ。


「んぁ!」


チュ。


パシャ!


『ハーイ、オッケー!この赤いランプが消えたらプリクラが・・・』


「ささささ沢っ・・・・・!!!!!」

「慎。」

「ぅぁっ・・あー・・・・し・・慎!てめぇ!」

「・・・ご褒美。いいだろ、これくらい?」

「いいいいっいくない!」


・・・・・・ったく。


キスした写真くらいで真赤になるなんて――――


「・・・・まだまだガキだな、お前。」

「なっ・・・なにぃ!あたしのほうが年上だぞ!」

「・・・・そーいう意味じゃねぇよ・・・バカ。」

「バカ―――!!??」


ぷんぷんと怒る久美子を尻目に出てきたプリクラを取り上げてみれば。


「・・・・・・失敗だな、こりゃ。」

驚きに目を見開いた久美子の顔と、してやったりの自分の顔。


「な・・・・・なにぃー!失敗ってお前がお前が・・・・!」


・・・・つーか俺言ってんのお前の顔じゃねぇよ。

失敗は、俺の、キス。


「・・・・・・舌入れればよかった。」

「・・・・・・・!!!!!!!」

「・・・・なんてな。」

「こっ・・・・・このやろ!あたしをからかうなんていい度胸じゃないか!!!!!そこに―――――――!!!!」

「・・・・・いいじゃん、お前の男なんだし、俺。」

「・・・・・っ!!そそっ・・そそそそ・・・!」


そそそ? そ・・、のその後は?


「ははっ・・・・・・・」

「〜〜〜〜もうっ!!!!!」


真赤に染まった久美子の頬に楽しさが腹の底から沸いて来て


「・・・好きだよ。」

「・・・!!!!!」


自然と漏れた言葉に再び久美子の顔が苫になった


夕焼け光る帰り道 例えばこんな二人の、時間。



へい、日記に書いたSSSをUPしてみました。(早いよ) これの前に、きみぺのSSSSを日記に書いてしまったんですが、思わぬ効果で慎久美が物凄く書きたくなっちゃって、殴り書きしちゃいました。てへ。
しかも今度からは大学生活とかなんとか書いておいてこれ高校生活だし。てはは。

よ・・・・読んでくださって、ありがとうございました・・・・・!!!!!!!