[ 夏×海=×××. ]


「ぃよしっ!今日は待ちに待った自由行動だ!」

「「 おおー! 」」


拳を高々と振り上げて、18にもなる男の集団が異様に盛り上がりを繰り出す――


夏。


白金学園の、臨海学校。


と言うのは名目で。


ついてきている教師といえば、川嶋・藤山、そして冒頭で声を上げた山口――――


・・・・ったくあのバカ・・。


――バカ。いやいや、山口久美子。その3人のみだけだったのだけれども。


待ちに待ったなんて言った割りには、実習を行ったのは昨日一日遠泳だけで。


残りあと2日間、きっと自分たちも楽しみたい!と他の女教師のプッシュで自由行動になったのは、誰が見た所で明らかだった。


で。


目の前に披露される、延びる足のラインからくびれから膨らみまでの水着姿を惜しげもなく3人は
さらしている訳で。


・・・・上に羽織れッツってんのに・・・・・


慎の怒りの矛先は、言わずもがな―――


「お前らっ 羽目外しすぎんなよ!」


そう言っている、彼女にだけ向かって、いた。


――――いつもはお下げ髪のその髪が。


「・・・・なんっか、ヤンクミの髪ってすげぇ綺麗だよなー。こう・・キューティクルすげぇって感じ?」


さらりと風に舞うたびに、周りのヤツラの声が聞こえる。


――――メガネをかけたその顔も。


「結構笑うと可愛いよな〜っ・・っつーか、メガネ無いほうが・・・・いい?」


太陽の下で笑うたびに光る黒髪が一層表情を際立たせて。


極めつけ、は。


――――普段はジャージに包まれた、その――――・・


「・・・・すげ、白い・・・・」


一同の気を一番惹いた、真っ白で触り心地の良さそうな、その、素肌。


・・・・なんでビキニ着てきてんだよ。


『それだけは止めろ』


と。言ったはず、なのに。


・・ムカ。


・・・ムカ、ムカ、ムカ。


周りのヤツらが「ヤンクミ」じゃなく、一人の「山口久美子」を見るたびに、広がっていくムシャクシャしたこの気持ち。


・・・あいつの髪も、表情も、肌も―――――・・・・


・・全て、自分が愛情を注ぎ込んで育てられていったものだと信じている、から。



「・・・・・全部俺のモンなんだよ。」


「「 ・・・へっ?? 」」



いつもよりも低い声でそう言うが否や、パパっと自分が羽織っていたパーカを脱ぎながら走って離れた久美子の元へと飛んでいく。


「・・っと。あれ?沢田、どうした?」


急いで駆けつけたというのに、ニッコリ笑って、自分をいつもと違う呼び方で呼ぶ久美子へ少しだけ
小憎らしさが生まれたから。


「・・・・今日はこれ脱ぐんじゃねぇ。」

「え?わっ・・・!っておおおおい!暑いだろ、こんなの・・んっ!?」


バサっとワザと二人の顔が隠れるようにして、パーカーを羽織らせたその瞬間。


・・・・ちゅ。


夏の魅惑を乗せた唇にキスをした。


・・・これくらい、しねぇとな。


「バ、バカ・・・・・・・!」

「・・・見えてねぇよ。それに・・・・」

「っ!!!!」


――――他の連中がちょっかい出さないように。


耳元でそう囁けば、ようやく黙って被さったパーカーを着込み出す。


「・・・・・世話のかかるやつ。」

「う・・・うるさい・・!」


もぞもぞと着込みだしたその姿に、ようやく安堵の溜息が漏れる。


「・・・怒ってんのか?」


それをまだ自分の不機嫌と取ったのか――


・・・きゅ。


・・・と。パーカーの裾を握り締めて言ったその姿が可愛くて。


「今日は二人で自由行動・・・・・いい?」


意地悪な言葉を、周りに聞こえないように小さく小さく囁いた。


「・・・・・う・・・も、も・・バレちゃうだろ、そんなことしたらっ・・!」

「・・・バレねぇよ。」

「も・・もう!ワガママ!」

「・・・いいだろ?」

「う〜〜・・・・」


ぐ、とその腕を掴んで歩き出し、再びコソコソと小さくやり取りをしながら回りを見渡せば―――・・


「「「 ・・・・・????? 」」」


身体を固めながら自分たちの様子を見ているクラスの連中の姿が遠くに、見えた。


「・・・・・悪ぃな。」

「え?」

「・・別に。岩場の方まで歩いていこうぜ。」

「?うん??」


意味ありげな笑みを零してその場を去った、生徒と教師。


その日の夜―――――――は、案の定。


「「「・・なぁ、お前達って・・・・・・・」」」


しつこい位の追求の刑が待ち受けていた、そうな。




ちなみに二人で消えた間の時間、何をしていたか、は。


「いい・・・言えるかぁっ!!」


・・ということみたいです。




そして二人が無事追及の魔の手から逃げおおせたか、どうか。


は。


「・・・顔、真赤ですよぉ、山口センセ?」

「ななな・・・・ナニもしてないですよっ!」

「・・は?なんやそれ〜????ア・ヤ・シ〜〜〜vv」

「・・・っ!!!」




・・・ご想像の・・・・とおり?






*fin*

ううう。夏×海のお話しは初めて書きました・・!中途半端な話になっている様な気も・・いやしますが(オイ)、一場面、と言う事で・・・・はい。臨海学校なんて、今の時代あるのかも分からないんですが、『白金なら』というありがたきお言葉のおかげで吹っ切って設定しちゃいました(笑) 続きというかそういう感じでこの後とか全体とか書けるかな・・・・・なんて言ってみたり。

・・・・ということで、yueちゃん夏のお話しはこんな所でどうでしょうか・・!艶も何もあったもんじゃない、しかもオチも何もない状態で・・・へへへ(汗)。こ、これで約束は果たした・・・!(どどーん)
と勝手に思っとります(笑)。そんなわけで、このお話しはyueちゃんに捧ぐものとして・・!

ここまで読んでくださいまして、本当にありがとうございましたv ではまた、次回〜v