「ん、やっ!こら!どけってー!!!」 「・・なんでだよ。」 「だ、だって!今年は普通に過ごすって・・・!!」 年末、慎の家。 紅白を見終わった途端、久美子の視界がいきなり、前から上へと反転した。 ・・・・・へ? 油断、した。 そうとしか言い切れないこの状況。 でも でも、でも。 今年は、変なことはしないから、って。 そういう約束だって。 前日に、電話でちゃんと言ったのに。 慎だって、わかった、って言ったのに。 なのに どうして こ・・こうなってるんだぁっ・・・・・・・! 「やだ!」 キッと睨み上げて、精一杯の声を上げて身体を除けようと頑張る。 だって言ったじゃないか。 今年は、今年の、終りは―――――― 「なんでだよ?」 もう一度、今度は本当に不信気に問われた言葉に、大きく息を吸って答えをぶつけた。 「こ、今年の終りは何もしないって昨日、電話でいっただろ!」 「え」 カチ、カチ・・・ 一瞬の、沈黙。 がらんどうの部屋に、時計の音だけが鳴り響く。 そして 次の、瞬間。 「確かにいったけど」 慎の、不思議そうな声が自分を諭すように振り落ちてきた。 「ほら」 「でも、お前。」 「え?」 ・・聞きなれた、その言葉と、ともに。 「・・俺が、姫はじめでもする?、って言ったら「うん」って言ってたけど?」 「・・うん。確かにうんって言ったけど」 「・・じゃ、この体勢であってるんじゃねぇの?」 「え?」 何で、この体勢? だって、姫はじめって―――――― 「だ・・・だって、あれだろ。姫はじめって、あのほら・・かるたの中から姫だけとってあれするやつだ・・」 「・・じゃねぇよ。バカ。」 ・・・え? はぁ・・・・ 頭の上で、慎の心底呆れるような溜息が聞こえる。 じゃ じゃあ、そしたら ひ、姫・・・・ 姫はじめって・・・なんだっ!? 「お前が今言ってたのは、坊主めくりッつー子供の遊びだろ」 「え」 ・・・ドキ、ドキ。 「だから、カルタは使わないわけ。ここまでわかったか?」 「う、うん・・・」 カルタ、は使わない・・・ で ということは つか 使う、のは? 「・・・・・。」 何だか、嫌な予感がする。 しかも さっきは押さえ込まれてなかった両方の手首が、しっかりとベッドに押さえつけられていちゃったりして・・。 ・・・・ヤバ。 「ん・・・っ!」 「こら、逃げンな。」 油断してるかと思って手首を振りほどこうとしたら、もっときつく押さえ込まれる。 「や、やだやだっ・・・!」 「・・暴れるなって・・」 じたばたと身体を動かそうとしてみるけど、予想していたのかスッポリと各所がしっかり芯の体で押さえ込まれていた。 「・・で、姫はじめの答え、わかった?」 「・・・・ぅ・・」 弱い立場になった自分をいじめるときによく出る、その笑顔。 が とっても、とっても悔しくて。 「わ、わかんないっ!」 言いながら、プイ、と横を向いて、しまえば――――・・・ 「ふぅん・・・わかんない?じゃ・・・」 ・・・・案の定。 「あっ!や、わかった!わかったか、ら!はっ・・ぁん!!」 「・・・イタダキマス。」 ちゅ、と首筋から吸われていって。 「ふっ・・・ぅん・・・!」 最終的に、は――― 「久美っ・・・・・・!」 「あっ・・・あぁっ--ぁ・・ぅっ・・!!」 ・・・も、だめっ・・・! クッタリ、とした身体を慎に預けながら、今年も濃厚な夜のうち、初夢へと誘われる久美子なので、あった・・・・・・ ちなみに 「・・なぁ。」 「・・・ん?」 「なんで、遊びの呼び名間違えてたんだよ?」 「・・あ。」 なんで、久美子が名前を間違えていたのか、というと。 「あ、あの・・・・ちっちゃい頃、うちの奴らが言ってたんだよ、カルタのお姫様見て・・・」 『本当の姫はじめだなぁ!』 「・・って。」 「・・・へぇ。それで、今の今迄そうだと思い込んでた、と。」 「う、うん・・だ、だって!誰もその後言わなかったし・・だから・・」 だから間違えてただけ。 そう言うと、何かに気付いたかのように途端ギュッと抱きしめられた。 え? 「・・・・あのさ。」 「へ」 「俺だけ、だよな」 「え」 「・・その言葉、言ったの。俺だけにだよな?」 ・・・・・・・あ。 ひ、姫はじめ、を? あ、あ、 「あっ・・・当たり前だろ!そんな意味がある言葉他の人に・・・・に・・?」 ・・・・・・・・・あ。 そういえば。 昔、その昔っていうか3年くらい、前――――――― 「・・・・テツに言ったこと、あるかも・・」 久しぶりに正月、それで遊ぼうと。 「は!?」 「あ・・・だから変な顔してたのか・・。真赤になって倒れ・・ったのは気のせいかも!うん!だから・・あの・・・・!」 「・・・・もう遅ぇよ。言ったんだ。しかもテツさん・・・ふぅん・・」 ぎゅ。 「し、慎っ?・・その・・・や、ゃ・・!」 「・・・他の男に言うなんて、年明けそうそうお仕置き、だよな?」 がしっ 「えっ・・・・!や、やぁっ・・・」 再び押さえつけられたベッドの中。 今年初めての妬きもちをやいた、慎に再び―――― 「・・やっぱ、一回じゃ足ンねぇ・・・」 「しっ・・・ん・・・・あ・・ぁんっ・・・んん〜〜〜っ!!」 二度目の甘い、姫はじめを手ほどきされる事になったの、でした。 なにはともあれ 明けまして おめで―――― 「・・・たくないだろっ!!!!」 「・・いいから、こっち・・」 「んんっ・・・・!」 ――――・・・。 おめで、たいかはどうか個人の別として。 どうぞ皆様、今年も宜しくお願いします。 今年も一年、この二人が ラブラブで、甘い二人になります、ように。 「で・・でもコッチのほうは・・・!」 「・・・コッチってなんだよ。」 「・・・ぅ、ぃやその・・・」 「・・・エッチ。」 「!!!!!!」 *オワリ* |
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明けましておめでとうございます、アイコございます。 えええと・・・肝心な部分を濁しつつ、年はじめに行うまでの二人なんて書いてみたり。使い古された姫はじめのネタですが、なんとなく筆が進んだので書いてみましたー。肝心な部分書いた方がよかったかしらん。じゃあ見たいという方はメールを・・ってやるとまた大変になりそうなので(自分が)、こっそりと私に念を送ってください(笑)。 おバカな創作で始まった2004年ですが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします(*^∪^*v |