「一日」

ちゅ。

ちゅ。

ちゅ。

仕事時間が始まる前。

ちゅっ。

「んんっ・・!も、もう!ハク!!!なによぅ〜!!」

キッと睨んだその先には、ニッコリと優しく笑って自分を見つめる恋人の姿。

仕事時間が始まる前は、いつも2人だけの世界で。

「ハっ・・・・ん、ん・・・・」

2人だけしかいないから。

ちゅ。ちゅ。ちゅ。

数え切れないくらいの口付が、おでこに、瞼に、唇に――降り注いでくる。

「・・・・・千尋。」

うう・・・・もぅ・・・・・・っ

自分の名を呼んで、優しく笑うその姿に、いつもいつもノックアウトされてしまって。

「う・・・・・・ハ、ハクなんて・・・・・」

「私、なんて?・・・・・なに、千尋?」

どんなに憎まれ口を叩こうと思っても、その顔に。瞳に。唇に――

「・・なんでもないもん・・・・」

いつも撃沈されてしまう。

「ふふ・・・・」

悔しく言ってそっぽを向いた私の横から、ハクの小さな笑い声。

「千尋。」

・・・・・・・・・いや。

「千尋。」

向かないもん。

「ち、ひ、ろ。」

あっ。

いつまでもハクの方へと顔を向けない私の後ろから、ハクはギュ、と抱き付いてきて。

「・・・・・・愛しているよ。」

―――なんて耳元で囁くから、ビックリして後ろを振り返ってしまって。

「・・・・・・・・・・・っ・・・・!!!」

パチっとハクの瞳と目が合った。

「・・・・ふふ。千尋の、負けだね?」

む〜〜!!!!

「ハクの、バカァ!もう、ハクなんて、ハクなんてね・・・・ハ、ハクなんてね・・・・・・・・・・・」

「・・・なあに?」

何度も何度もこの問答を繰り返して、結局――

「ハクなんてぇ・・・・・・だ、い、好き・・だもん・・・・・・・・」

ぼそりと本音を洩らしてしまう。

もっと、ハクを困らせてやりたいのに。

もっと、もっと、私を好きになってもらいたいのに。

いっつも、私の方が折れているような気がして。

なんか、ずるい・・・・・・・・・・・。

「ハクの、バカぁ・・・・・・。」

「・・・・そうだね。私は、千尋しか目に入っていないから・・・・馬鹿になってしまったかな?」

ちゅ。

そう言って、再び私の唇に、口付を降らせてくる。

んん・・・もぅ・・・・・。

「・・愛しているよ。」

「・・・わ・・たしも・・・」


離れた二つの唇から、ふふっと小さな笑いが零れ出して――あたりは優しげな空気に包まれる。

「ん・・・・・」

二つの顔が、ついて離れて。二つの体が、抱き合って。夕刻まで、それは続き――

「そろそろ、行こうか?」

「うんっ!」

自然に手と手を取り合って、大きな建物の中へと歩いていく。


そして、今度は。


「千!!千はどこだ!!!!」

「は、はい!!!!!!!!」


――――忙しい一日が、始まりを告げるので、あった。




あーもう。最後走り切れとんぼに終わっとけ!って感じですね、ハイ(汗)一応、油屋で過ごす時前半部分と言う事で・・・。仕事終わってからは、アレだし。ア、アレって・・アレだし、ね?(誰に言ってるんだ)
バカップルに書きたかったんです・・・最近ウラの更新だけだったんで・・甘く、スウィ―つに書きたかったんです―――><! 全然訳わからんものになりましたが(汗) 2人の甘さを感じて下さったらいいな、とか思いつつ・・・・では、これにて。よんでくださって有り難うございました!(逃走)

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