[初恋・行進曲] *1* |
「・・・・・・・・・で?何で、あたしもこの話の中に入ってるんだっけ・・?」 ヒュンっ ヒュンっ 久美子は両方の肩にかかるおさげをフルフルと一回ずつ震わせて、左右にたたずむ人影を見上げる。 左に、内山、南。 右に、野田、クマ。 そして。 「・・・・なんで、お前が正面に座ってんだよ・・?」 「・・いいだろ、別に。」 パ、と視線をあさっての方向に向けて自分の正面に陣取った―――慎。 ・・・・な、なんでこんなことになってんだ・・・・・・・!!?? この、いつもの3−D主要5人メンバーに囲まれて、久美子はポツリとお誕生席――もとい。 真ん中に、座らされて、いた。 きっかけは、30分前。 「・・でよー!」 「ぎゃははは!!やっぱな、クマの事だからそうだと思ったよ!な、慎!」 「・・・・・まぁな。」 「あ、ひでー!慎までそういう事言うのかよ!」 なんて、わきあいあいな雰囲気。 3-Dの連中は今日も仲が良いなぁ〜〜〜・・・・ 「・・・なんて思ってる場合じゃねぇよ。」 放課後の教室の見回りに来ていて、もしかしたら、と思うも何も。 絶対いるな・・・・・・あいつら。 そう思って、やってきたこの教室。 パタパタ、と足音を響かせて廊下を歩いて、この教室の上に位置する窓の部分まで来ると。 「っは〜・・・・・」 久美子の芯から出たような溜息とともに、被さってきたあのバカ笑い。 声の主は、というと。 「はーぁ・・・・いつもの5人組しかいねぇ・・か。ったく・・・」 大体。 「し・・・あ、っと。沢田もちょっとは注意して学校から出るように言ってくれたって いいじゃねぇか・・・・・あとで教頭に怒られるのはあたしなんだぞ・・っと」 ポキ、ポキ、と肩をならしてあいつらを追い出す準備運動をしながら、久美子は小さく呟いた。 そう、このクラスのリーダー・・沢田慎、とは。いわゆる、恋人同士という関係で。 しかも。 「〜〜〜っぁー!恥かしいな、もう・・・・・・・・・」 深い、関係にもなっている仲で。 そうなってからとはいうものの、結構学校で会うたび自分は恥かしいやら、なんとも言えない感情に なったりしているのに。 「あいつって案外平気そうな顔してやがんだよな・・・・」 いつも、教室であっても。廊下であっても。朝、登校中に会っても。 いつもの、あの食えない顔をしていて。 「なーに考えてんだか・・・・・・・」 色んなことになっても、まだ、今イチつかめない男。 「ん、ま、とりあえずそれはイイとして。さー、行くぞ!ファイトー・オっ!」 ――と、言うわけで。今の感情は押し込めておいて、久美子はファイト一発気合を入れて。 ガチャ!!!! 「おい、お前ら!!!!!!!今何時だと思ってんだ!!!!!!」 教室の扉を勢いよく、あけたので、あった。 「・・・・ヤンクミ!」 ――と。 そこまでは、良かった。 いつも通り、自分の気迫で、力技で追い出せるはずだった。 いつも通り、なら。 シーン・・・・・・ 久美子の声に、騒いでいた4人の声が途端音を消してしまう。 よし、よし・・・・・・! チラ、チラ、と一人一人に目配せをしていって。 内山に、南に、野田に、クマに。 そして。 パっ。 最後の一人を目を合わせて。 ドキっ。 ちょっとだけ胸も高鳴ったりもして。 ハっ!いかんいかん!胸を高鳴らせてる場合じゃないゾ、久美子! と、気合を入れなおし。 「行こうぜ。」 ―――そう、沢田慎が言ってくれれば。 事は、丸く収まるはずだった―――――のに。 「・・・・・・おい。ヤンクミの話、聞いてみねぇ?」 そう、慎が言ったもんだから―――・・ 「お、いいねいいね!!!!!!!」 「ヤンクミの話し、聞いてみてぇー!」 「はいはいはいはい、せーの、せーの!」 「あ やんくみの、ちょっとイイ話聞いてみたいー!!!ってか!あはははは!!」 口々に、周りの4人が騒ぎ出す。 その、騒ぎに。 「・・・・・・・・は?」 久美子は、ただただ首を傾げて小さく声を出すしかないので、あった。 そして。 「こっちこっちこっちこっち!!」 「ささ、まぁ楽にしてくれって!!」 「で、お、お、おい!!!お前ら、何するつもりだよ!!!ていうか何を話せって言うんだよ!!」 勧められるまま、久美子は、周り4人+正面1人――に、囲まれたお誕生日席に。 「こちらに、どーぞv」 ポスンっ。 座らされて。 ・・・・・え?・・え? 「じゃ、聞かせてもらいましょうか!お題は〜〜・・慎!どうぞ!」 「お、お題って・・・おい、沢・・・・」 「題は。」 「・・無視かよ。」 「『初恋』。」 ・・・・・・・・・・・・・・は? なんだろう。今、初恋とか聞こえたような気がするが。 「え、ちょ、も一回、言ってみてくれよ。いい、今何て言った?」 「・・だから、『初恋』。」 そっけなく、答えた慎の答えは自分の聞き間違いなんかじゃなくて。 「は、初恋〜〜〜!!!!!!????」 思わず絶叫してしまうと。 「ヤンクミの、初恋話を聞かせて欲しいなー、なんて思ったりして・・なぁ!」 野田の、その一言に、再び周りが騒ぎ出す。 「あ、あ、あたしの初恋話ぃ!?いや、ちょ、それは・・・・!」 「・・・・いいだろ、別に減るもんでもねぇし・・。」 思わずしどろもどろになった自分の態度に、慎がするどく低く、突っ込みを入れる。 パ、と久美子はその声の方向へ顔を向ける、と。 ・・・・・・マ、マジかよ・・・・・っ 思わず、その場で泣きそうになってしまうくらいの―――慎の、真剣な、瞳。 回りとは比較にならないほどの、強い意志を持った目に、自分にしか聞こえないように低い声で言った、 さっきの言葉。 ・・・・終わった・・・・・ その慎の姿に、久美子はこの後の自分の行方をチラリと垣間見た気が、したので、あった・・。 >>GO to 2 story. |
お久しぶりです、皆様、アイコでございますー><! 今回、再びちょとした連載ものでコチラの話を書いていきたいと思います。最後に小説UPしてから・・・結構立ってる・・(汗)。 ええと、ドラマと原作入り乱れてのお話しにちょっとなっていきますが、基本はドラマですので!これからもお楽しみいただけると、嬉しいです! ではでは、次回のお話しも近々UPいたします〜〜Vv 9月27日スタートv |