[初恋・行進曲] *2* |
「・・・・・・で、クマはどうなんだよ?」 「俺?俺は〜・・・」 放課後、教室。 ったく・・・・・・・・・・ ガタ、と慎は背伸びをしながら、あくびを一つ口から出す。 今この場で行われているのは、自分達の『初恋』話。 南がチラ、っと話始めたのに火がついたのか、その後皆それぞれに語りだしあい始めてしまったのだ。 「・・・。」 ちらりと時計を見ると、もう6時になろうとしていて。 ・・・・・・もうそろそろか・・・・。 フ、と頭を掠める人物の姿。 いつもクルクルとよく表情を変えて、いつまで見ていても飽きない、その可愛い姿。 登校途中にあっては顔を赤らめて。 授業中に目が合えば恥かしがって。 休み時間廊下で会えば、「さ、さ・・」と、名前をどもったりする、その可愛い―――恋人。 その恋人が、もうすぐ見回りに来る時間に、もうそろそろなろうとしている。 いつもは、アイツを困らせたくないから。 本当は、教師と言う姿を見せ付けられているようで何だかシャクに触るから。 「行こうぜ。」 そう、仲間たちを促して、校門をくぐっていく。 ――――でも。 今日は―――・・話の、ネタが。 『初恋』で。 フ、と思ってしまったのだ。 そういや、俺・・・・・・・アイツの他の恋の話なんて聞いたことねぇな・・・ ――と。 自分だって、言った事はないけれど。と、いうよりも。 後にも先にも、久美子以外に真剣に幸せにしたいなんて思った女はいないし、いるはずもない。 だから―――別段、そういう話を二人きりの時に振った憶えもなかった。 でも。 久美子の、恋・・・・・・。 チラ、と考えた事もあった。 自分より前に、付き合った男はいるのか、とか。 ただ、体の方は―――自分が、初めての男だったようだが。 でもそれは、体の話で。自分が、知りたいのは。 久美子の、『想い』の方。 あいつ、どんな恋も真剣――・・だよな・・・。 そう、久美子がどれだけ他の男に心を注いだ事があるのか。 自分以外に、真剣に、どのくらい――心を、分け与た事があるのか。 ・・・篠原、は例外だけどな・・・。 あんなもんじゃない。きっと、久美子が真剣に人を好きなったら、あんなキラキラとした光を回りに 撒き散らしてはいないだろう。 久美子の、本気は。 静かな、炎。青くて、静かで――でも、一番熱いものを心の底に燃えさせて、燃え尽きる事のない――・・・・ 「っはぁ・・・・・・」 そこまで考えると、いつも嫌になる。 自分が、心も体も初めての男でありたい。 でも、もしかしたら―――――・・・・・・・! 知りたくない。本当は――・・・でも、知りたい。どうしても。 だから。 「・・・・・・お?慎、どした?」 「あぁ・・・・・あのさ・・・。」 この、4人に提案として持ちかけたので、あった。 本気で自分から聞くよりも、きっとこの面々に冗談交じりに聞いてもらった方が。 ・・・・・まだ、受け止められる、かな・・・。 自分でも器の小さい男だと思う。 けど。 真正面切って、久美子に問い掛けるのは何だか本当に器の小ささを露見しているみたいで。 ・・・・・ったく・・・・俺、カッコわりぃ・・・・・。 「お、いいね、それ!」 「じゃー、ちょっくら来たら聞いてみるか!」 「うし!準備しろ、準備!」 「慎、ナイス!」 「・・・・・ま、な。」 口々に言われるその言葉に、複雑な思いで言葉を返すと。 ガチャ!!!!! 「おい、お前ら!!!!!!!今何時だと思ってんだ!!!!!!」 派手な音を後ろに引き連れて、やんくみが―――久美子が、入ってくる。 ・・・・・・来た、か。 そして。 「・・・やんくみの話、聞いてみねぇ?」 合図をしたので、あった。 <<Back to 1st story. >>Next 3rd story |
・・えへvもちっと続きますv 久美子の恋はいかに・・・そして慎の思いはどうなるでしょう・・! |