【悩み無用?】


「ハク、ごめんね・・・」

千尋??

「私・・私・・・・」

ちひっ・・・・・・・・・!?声が・・・!!

「私、もうハクと一緒に居られないの!!実は他に好きな人が出来ちゃったの!」

ガ―――――――ン!!!!!

ハクはショックで顔が青ざめてしまう。

どうしていきなりこんなことになったのか。どうして自分は声が出ないのか――――

「その好きな人って言うのはね、いつも私の傍に居てくれて助けてくれた、リ――」

ぐわん。

千尋がその人物の名前を言う前に、ハクの目の前が歪みだしだんだん声が遠くなる。

千尋っ!?そ、そ、それは誰なんだ!!! 千尋、ちひ――



「―――ろっ・・・・・」

ガバァ!!ハクは自分の発した声で起きると、暫くボーっとしてから今のが夢だったことに気付いた。

「ま・・・・・また夢か・・・・・・」

ハクは最近、夢見が悪い。前回は自分がこともあろうか女装する夢を見て、今回は千尋に振られる夢だ。しかも、今回の千尋の相手は―――


「な、なぜあんな夢を・・・・・」

うーん・・・と考えて、ハクは一つの出来事を思い出した。それは、昨日の仕事中にさかのぼる。


『リンさん、すごーい!!!!』

『まぁな!!』

それは本当にたわいもないことで、でも千尋にしてみればきっと凄いことだったのだろう。
その後、千尋はハクの肝を冷っとさせるようなことまで言ってのけたのだ。


『わ〜・・・リンさんって、カッコいいね!』

『そうかぁ?でもあたし的には"かっこいい"って褒め言葉なのか・・・・?』

『あはは!リンさんは、ハンサムなんだよ!カッコいい女性に使うこともあるんだよ!』

『へぇ〜、ハンサム、ねぇ。』

『うん!きっと私が男の人だったらね・・・・リンさんに一発で一目ぼれしてるな!』


・・・・・・・一目ぼれっ!?


『そっかぁ?なんか照れんなぁ。あたしも男だったら、きっと千に惚れてるぞ。あ、でもそん時はあいつとライバルになっちまうな〜。でもあたし負けないぜ!』


・・・ライバルだとっ?リン、その言葉使うには100年早・・・・・・


『あは!そうなったら私、迷っちゃうかもなぁ!!』


ま、迷うっ!!??ち、千尋、それは・・・・・!!!!!


『さ、そろそろ仕事しようぜ。あの鬼に見つかったらまた何言われっかわかんね―からな』

『ん!仕事、戻ろう!』



―――これしか思い当たらないな・・・・・・ちっ・・嫌な夢を見た・・・


後味の悪さに項垂れながらも、パサっとハクはいつもの水干を着込んで、キュっと腰の辺りを紺の紐で縛り上げる。


「さて、行くとするか。」


カタン・・・・・


魔法で扉を開けると、いつものように帳場係の自分へと意識をもっていくのであった。








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