10000Hitリクエスト小説

【 ピ〜ス☆ 】
-3-



「いや、です。」

ハクの問いかけに、千尋が出した答えはNO。

「そんなに知りたいなら、ご自分の胸に聞いてみてくださいっ!」

「千尋。」

月の光に写るハクの姿は、どうも怒っているようにしか見えない。

がさり、と自分の方へ近づいてくる。

やだ!掴まりたくない!!!!!

そう思った千尋は、足元など確かめずにくるりと後ろを向いて――ダッシュしようと思った。が。

「あっ!!!!!!」

数メートル進んだその先は―――何もない。

―――落ちる!!!!!!

キュ、と目をつぶって重力に逆らえなくなったその時。

「千尋!!!」

グイッと、ハクに引っ張られ、目を開いた時には――

「あ・・・・・・・・・・」

「そなたはっ・・・・・・もっと、周りを確かめてから行動を起こさないと駄目だ!」

ハクの胸の中に抱きかかえられ、そう耳元で言われた瞬間。

「だって・・・・・・・!!!!!」

千尋の、押さえていた感情が爆発してしまった。

「だって・・・・・・だってだって!!!!!全部ハクのせいなんだから!!!ハクが、いけないんだから―――!!!!!」

せきを切った触れ出した感情はとどまることなど知らず。

「うっ・・・・うええええんん!!!!!」

千尋は、泣きながら言葉をぶつけていった。


「こっ・・・・・・この間だって、ハクが悪いんだからっ・・・!」

「・・・私が?どうして?」

キュっと千尋の涙を袖で拭いながら、ハクは優しく返事を返す。

「だって・・・・・・居たじゃないっ・・・・・2人で・・き・・綺麗な女の人と部屋に居たじゃないっ・・・!!私、見たんだから!」

「・・・・・・・・女?」

怪訝そうに、ハクは呟く。

「知らない何ていわせないもんっ!紫の薄布をかぶった凄く綺麗そうな女の人とっ・・・う、腕組んでたでしょ!わ、私それ見て・・・・」

紫の薄布・・・・・・・・・

その言葉に、ハクはハッとして一瞬体を強張らせる。

やっぱり・・・・・・・・・!!!!!!!!

「し、信じられないよっ・・・・・・私、ハクの為におにぎり作って持っていったのに・・・・もう、ハクなんて知らない!!!!勝手にすれ・・・・・」

「千尋!!あれは、ちがう!!!」

「きゃ!」

またも、耳元で大きな声でそういわれる。ビックリしてハクの顔を見ると、その様子はまるで――

怒ってる顔・・・・・ていうか、困惑してる・・・・・・・?なんで・・・・・・・???

「あれは・・・・・違う。」

「・・何が、違うって言うの?だって、現にハクは――」

「あれは!あの女は――――――――」

そうして。ものすごく言い難そうに、小さく言ったハクの言葉に、千尋は。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」

間抜けな声を、上げるしかなかったのであった。





い、今何て言ったの・・・ハクは?

『あれは・・・・・私だ。』

そう、言った??? 何で?何がどうなってるの?????

「あれは・・・・坊の「変化」と言う魔法の練習に付き合っていて・・・それで・・・・・」

そういうハクの顔は、すこし赤くなっているような気がする。よほど言いたくないのか、そっぽを向きながらポツリポツリと話してくれている。

「う・・うそだぁ。だって、あの人凄く綺麗で・・・・」

「・・・・・・嘘じゃない。」

「じゃ・・じゃぁあそこにいたのは・・・坊だって言うの?あの、綺麗な女の・・・・・・」

「そうだよっ・・・・・」

みなまで言うな――と言わんばかりに、ハクは千尋の言葉を遮って返事を返す。

ふぇ。

あれは、あの女の人は――

「ハクだったんだぁ・・・・・・・・・」

「・・・。」

「・・・あは・・・ははははっ・・・・・・」

なんて勘違い。なんて間抜けな今までの自分―――その思いと。

「・・・千尋?」

その様子をジト―っと赤くなりながら睨む、ハクの姿が可笑しくて。

「あはははははっ・・・・・・・・・・・・・・!!!!ハ、ハクがあの人・・・・んふふふっ・・・・・・!!!」

「千尋!!!笑いすぎだ!!」

可笑しくて、可笑しくて、安心して―――

「ふふっ・・・・・・・・ふ・・・・・えぇ・・・・・・・・・」

「・・・・・・千尋?」

「うっ・・・・・・よ、よかった・・・・・・・・・えぇ・・・ん・・・・・・」

涙が、止まらない。今度は、悲しい涙じゃなくて、嬉しい涙が。

「・・・私のせいで、悩ませて悪かった・・・・・・」

ギュウっと抱いてくれる、ハクの腕も凄く嬉しい。よかった、よかった―――!!!!1













「そろそろ、もどろうか・・・??」

「・・・・・・う、うん・・・・・・・・・・・・」

あ、やばい。かなり、恥かしい。

何であんなに泣いちゃったんだろう・・・・・・・それに、今までの自分・・・・・。

そう思うと、千尋は恥かしすぎて、顔を上げられなくなってしまう。

「・・どうしたの?」

優しく、ハクが覗き込んでくれる。

わわ、わわわっ!!!!

「な、なんでも!!!」

思わず、顔を横に向けてしまう。ああ、誤解されてませんように・・・・・・・・。

と、思ったのも余計な心配だったようで。

「きゃ、ハ、ハク!?」

ここに来た時と同じように、横抱きにされてしまう。

「まだ、機嫌直らないみたいだね・・・・・・・じゃぁ、しょうがないな。」

「え。わっ!」

フワッと宙に浮いて―――

「そなたの機嫌が直るように・・・・このまま、私の部屋まで・・・・・・連れて行くよ?」

「あ・・・・・」

「今度は、嫌とは言わせない、よ?」

ニッコリと笑って言うその言葉―――嫌なんて、言えるわけがない。

ううん、むしろ。

「うん・・・・ハク、大好きっ」

そういわれるのを、待っていたの―――かも?




そうして。次の日からは。


「千っ!!!!!!!!走るんじゃない!!!!!」

「はいー、ハク・・・・・・・様っ♪」


元通り仲のよい二人に戻った姿が、湯屋の中で見られたという。


陰では。


「っかーーー人騒がせな奴ら・・・・・・・・・」


そう呟くリンと。


「今度は千の姿になってみようかな〜♪」


のん気に、次の変化の対象を考える坊の姿があったとか。



が、今回の一番の影の功労者は。


「ほっ・・・・・あの時、千に暇を出してよかったわい・・・・・・・」

「おい、兄役何しとる!!」

「はい――――っ!!!!」




・・・・だったのかも?






(完)






2へモドル。

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アトガキ**果林様、皆様へ。

10000Hiリクエスト小説でございました!!か、果林さん!!どうでしたでしょうか・・・・・(汗)
ずいぶんと・・・・本当にずいぶんとお待たせしてしまい、この作品となりましたが・・・・はい、もう
果林さんに限りましては文句をたくさん聞く覚悟は出来ております(汗) こんなもんにずいぶんとかかっ
たのかよ!みたいな・・・・・・・・・・・(大汗)。は、では言い訳を・・;; 今回の話を書くに当たって、
結構なお話が出来上がってしまいました(汗) 2,3話は別バージョンで<妬きもち>な千尋の話が。
でも、どれもこれも「妬きもち」ではなくて「嫉妬」になったりとか、ちょっとくらーくなっちゃって。。。このサイ
トのモットーは明るくラブコメvみたいな感じですので、闇に葬りました(汗) なんで!遅くなっちゃいまし
た!本当に本当にごめんなさい〜〜!!!!!!! 

そして、ここまで読んでくださった皆様(泣) 「最近、ここ更新怠慢なんじゃないの?」と思っておられる
と思います・・(汗) ごめんなさーーーい!!!!!! 読んでくださって有難うございました!!!

ちなみに、タイトルは・・モー娘。の「ザ・ピ〜ス☆」から・・あんな風に明るい感じで読んでくだされば。。
あっ・・・石は、なげないでくださいっ><!!


2002-1.19 月子拝