[メールでLOVE ME!]
=4=

「・・・・・先生の用事で遅れるんだったよね?」

あまりのショックに、千尋が呆然と立ち尽くしていると、ハクから口火が切って落とされる。

ギク。

お、お、怒ってるよぉぉ・・・・・・・

低くて、静かな声。

ちなみに、
千尋はまだ。まだ、ハクの方を振り向けないでいた。

どうしよう、どうしようどうしよう・・・・・・・・・・っ・・・・・!!!

「・・千尋?」

返事をしろ、と暗に促すこの言葉。

「・・・はい・・・・・・」

その恐さに、思わず丁寧な言葉づかいになってしまっていた。別に、油屋でもないのに。

「・・・・・知られてはいけないことではない、と言っていたよね?」

ギクギクっ。

――本気で、ヤバイ。

ここで「はい」と言ってしまえば、認めたことになってしまう。いや、事実そうなのだけど・・・でも。

言ったが最後。

何されるかわかんない・・・・・・・・・・・ああああ〜〜〜〜・・・・・っ

「・・・・千尋?」

再度、早く返事をしろとの暗に促しがかかる、が。

「・・・・・・・・・・」

下手に返事をするよりも、ココは黙っていた方が得策かも・・・・・・と、千尋は応答せずにだんまりを決め込んだ。

「千尋。」

・・・・・見ない、言わない・・。

「・・千尋。」

見ない、言わない、見ない、言わない・・・・・

「・・・千尋・・・・」

「・・・・・・・・・っ!!??」

――迂闊だった。

ハクに、背中を向けていたために――近付いてきているのなんて、全然分からなかったのだ。

フっ・・と。

名前を呼ばれながら、耳元に息を吹きかけられる。

「・・・・・返事をしなさい。でないと・・・・・・・・ここで・・・・」

でないと、ここで。

・・・・ここで、とは・・・ま・・まさか。

「・・・・・!!!!!!!!」

そっと呟いた、その言葉の真意に。

ピキィっと背中に定規が入ったように、真っ直ぐに固まってしまった。

な、な、な、な!!!!

「だ、駄目!やだ!!!」

「・・・じゃぁ、答えて?」

クスクスと笑うように、再び耳元に囁きかけられる。

〜〜〜〜〜〜〜どうしよう〜〜〜〜〜っ・・・・・!!!!

答えても、答えなくても。

どっちに転んでも、痛い目を見るのは―――

私じゃないっ・・・・・・

余りにも四面楚歌という状態がぴったりの状況に陥ってしまい、千尋は思わず泣きそうになってしまう。

が。

「・・・・・早く、答えなさい。それとも・・・・・・・・」

「い、言います!言います言います!!」

泣くのも許されないこの状況。

「・・・・・書きましたぁ・・・・・・・」

千尋は、顔を真っ赤にしながらも、泣く泣くこの言葉を呟いたのであった。



そして。


やはり、というのか。案の定、というのか。



「きゃ!」

くるっと、ハクのほうへ向くように体を回転させられて、見上げたその先には。

「嘘をついたね?」

ニッコリと笑っているが目が笑っていないハクの顔。

「あ・・・・ご、ごめんなさい!もうしないから、その・・・・・・!!」

その顔に、一抹どころか99%の不安を頭に掲げながら、藁にでもすがる思いで言った、謝りの言葉。

ここは、学校だし・・・・・・。

そんな思いも含まれて。

「・・・後で、じっくりと経緯を聞かせてもらうからね?じゃ・・行こうか。」

え、もしかして??

藁にすがる事が出来たのかな――!?

「行くって・・・・・・」

「昼食を食べに、だよ。まだ食べていないからね・・・・・」

・・・・・・・・・出来たんだ!!!

そ・・・だよね、ハクも神様だもん・・・一度の誤りは許してくれるよね・・・?

そんな一筋の希望が光をさした瞬間―――

「わ!」

突然、見も知らぬ場所へと空間を移動させられて。

「なに・・・ここ・・・・?」

「近くの神社の境内だよ。」

「え・・・・・・・・・?」

「昼食を食べていないといっただろう?」

え。それは、もしかして。

千尋の頭の整理がつく間もなく。

グッと体を引き寄せられて。

「・・・・・いただきます。」

!!!!!!や・・・・・やっぱりぃぃ・・・・!!

「えっ・・・・やぁっ・・・・・待っ・・・・・・!!!」




千尋の願いは儚く散り。昼食、と言う名の甘いお仕置きを受けて―――




結局、午後の授業には全部間に合わずに、日が暮れるまでその身を横たわらせていたのだった。


そして、また一つ。千尋の頭の中に、教訓が、生まれる。


”嘘事を 突き通すのなら 覚悟しろ”


「あぅ・・・・・・体、いったぁい・・・・・も・・・・メールなんて止める〜〜っ・・・・・!!」






そう呟いた千尋の言葉に、何か思いついたようにクスリ、と笑った理由はまた後日―――。





(おまけ:それから数日後)


「なー、速水。お前、またメール打ってんのか?」

「まぁ、ね。・・・・・すぐ分かるから。」

「はぁ?」

「ふふ・・・・何でもないよ。それよりも、早く行かないと―――」

「ぅおわっ!?ヤベ!!!昼飯がなくなっちまう!!!」

ハクに体よく促された少年は、またもものすごいスピードで教室を駆け抜けていった。

そして。

「さ、そろそろ・・・・・・くるかな?」

待ち遠しい、いつもの昼の始まりは。

「ハク〜〜っ!ご飯、食べよ!」

千尋が、自分のクラスに呼びに来てくれる事。

カタン、と静かに椅子を押して千尋の所まで歩いていくと、パラッと千尋のポーチから何かが舞い落ちた。

「・・・・・・・・・・・?」

手紙・・?と、不思議に思って拾い上げようとすると。

「あっ!!!!だ、駄目!!」

慌てて、千尋が止めに入ってきた。

・・・これは。

もしかして。

「・・・・・千尋?」

「あっや、なんでもないの!!ソレよりも、ご飯食べにいこ!」

自分に見られたくないもの・・=・・・・。

「・・また、お仕置きするしかないみたいだね?」

「え??」

「・・いや、なんでもないよ。早く、行こうか。」

「・・・・・うん?」

小さく小さく呟いた言葉を、ハクはしれっと誤魔化しながら。

――メールで誘導していくのもまた楽しいかも。

と。

こちらの世界に来て、新しく手に入れた千尋遊びを、ハクはこれから先幾度となく行うのであった。






(オワリ)


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はー、早かったコレ書くの・・・・(笑)。とても楽しく書きましたヨvv えっと、えっと。。むしゃりこさん!きちんとイラストの方も描きますのでvvなんで、なんで・・・リクエスト内容で思いついてしまったこのお話を載せることを許してくださいませ―――><!! ハクが、現代にいてメールしてたら。ていうイラリク内容で、思いっきり私この話が思い浮かんじゃいました(汗)!!
えと、これは現実編の番外編という事で見てくださると、なんとなーく世界も思い浮かべられるかな・・と思って番外編とつけた次第でございます。
では、ここまで読んで下さって、本当に有難うございましたv 本編の方も、ガン・・ガン・・・頑張ります!

=追記=
昨日Upしたコレですが、なんか終りが余りにもおかしな感じだったので追加しましたーーー!!!!
とは言っても、まだ変かも・・・・・・・・ごめんなさい!(逃)


2002年3月5日&6日  月子拝