[メールでLOVE ME!]
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ダダダダダ!!!

階段を勢いよく駆け下り、中庭の方向へと千尋は急いで駆け抜けていく。

早く、早く終わらせたい!!!

ザザっ!!

「ぅわっ!」

あまりに急いでいたために、コンクリートの床を横滑りしながらもようやく中庭へとたどり着いた。

既に、時間は。

千尋はチラッと腕時計を見る。

5分もたってる・・・・・・・・。

12時5分を示していた。

うずうずうず・・・・・・

待っている時間ももどかしい。早く、事を済ませてどこかで食事に付かないと――――彼が。

あの、翡翠色の瞳をした彼が。どこかで、みているようで。

・・・・・・・・こ、恐いっ・・・・・・・・・

別に本当に見ているわけでもないと思うのに、千尋は背中に視線を感じて小さく身じろいだ。

と、その時。

ポンっ

「きゃ!!」

「わっ・・・・・・・!!!!!な、な、なんだよ!」

「へ?」

そんなことを考えていたもんだから思わず声が上がってしまう。が、後ろを振り向いて目に飛び込んできたのは、仲間の少年で。

「あ・・・・・なんだ・・・・・・」

またも、何も考えずに言葉を零してしまうのであった。

「"なんだ"って・・・・・ひでぇよな、荻野・・・・・・」

「あ!あ、あ、ごめんね!!そ、それで〜〜〜その・・・・・・」

――――なんでココに呼び出したの?

なんて。

そんなことは愚問と分かりつつも、千尋は聞いてみる。

別に、早く告白が聞きたいわけではなくて、ただ。早く。

・・・・・・この場から逃れたいっ・・・・・見つからない、うちに・・・・・・・。

その思いで一杯だったから。

「えっと・・・・・・それで・・・・・・・あー・・・・・・」

うううう、早く〜〜〜〜っ!!!!!

少年の方は呼びだしたにも関わらず、未だ決心がつかないご様子で、あーでもないこーでもないと、言葉を濁し続けている。

もちろん、千尋の答えは一つしかない。

『ごめんなさい』

コレだけだ。

だから、早く、早く早く。少年が言った言葉に対して答えはコレしかないのだから、早く言ってこの場を離れたい。


少年が言葉を濁してから、かれこれ4分は過ぎただろうか。

「俺・・俺、前から・・・・・。」

やっと、待っていた言葉が紡ぎだされてきた。

あああああ〜〜!!もっと早く言ってぇぇぇ!!!!!

もう、こちらの準備は出来ている。後、もうちょっと・・・・・・・!!!!!

「俺、前から荻野の事が・・・・・・・・!!!」

・・・早く、早く・・・・・・!!!!

「好・・・・・・・・・っ・・!!!!???」

――きだ。そう、彼は言おうと思ったに違いない。

が。

・・・・・・・・・え?

途中で、止まってしまっている。

なに・・・・・・・・・・・?

ゴクリ、と嫌な予感を背中に感じながら、千尋は唾を飲み込んだ。

「あ・・・・・・俺、なんでもないわ!荻野、お前とはいい友達でいような!!」

「・・・・・・・・・・・え?え?」

ツツっと汗が背中を伝っていく。

ハッキリ言って、凄く不自然な少年のその言葉。今の今まで高潮していた顔も、さっと蒼白のソレに変っていて。

ま、さ、か。

「じゃなっ!!!!!!」

あ――――――!!!!待って!!!!!ズルイ―――――!!!!!!!

嫌な予感がとうとう本格的になったのに対して、先に逃げ出した少年を裏切り者、と感じながら。

「・・・・・・・・ち、ひ、ろ?」

ピキィっ!!!

あ・・・・・・・・あわわわわわわわわ・・・・・・・!!!!

コレは、夢、夢・・・・・・そう願いたいと思いつつも―――ポン、と。右の肩に乗った、彼の左手の冷たさに。

―――死んだ、かも・・・・・・・・・・・・・・・・・。

現実が――――そして、今時分がどの状況に立っているのか――――

「どういうこと?」

この言葉に答えるべく、千尋は嫌でも把握せざるをえないのだった。







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