[メールでLOVE ME!] =3= |
ダダダダダ!!! 階段を勢いよく駆け下り、中庭の方向へと千尋は急いで駆け抜けていく。 早く、早く終わらせたい!!! ザザっ!! 「ぅわっ!」 あまりに急いでいたために、コンクリートの床を横滑りしながらもようやく中庭へとたどり着いた。 既に、時間は。 千尋はチラッと腕時計を見る。 5分もたってる・・・・・・・・。 12時5分を示していた。 うずうずうず・・・・・・ 待っている時間ももどかしい。早く、事を済ませてどこかで食事に付かないと――――彼が。 あの、翡翠色の瞳をした彼が。どこかで、みているようで。 ・・・・・・・・こ、恐いっ・・・・・・・・・ 別に本当に見ているわけでもないと思うのに、千尋は背中に視線を感じて小さく身じろいだ。 と、その時。 ポンっ 「きゃ!!」 「わっ・・・・・・・!!!!!な、な、なんだよ!」 「へ?」 そんなことを考えていたもんだから思わず声が上がってしまう。が、後ろを振り向いて目に飛び込んできたのは、仲間の少年で。 「あ・・・・・なんだ・・・・・・」 またも、何も考えずに言葉を零してしまうのであった。 「"なんだ"って・・・・・ひでぇよな、荻野・・・・・・」 「あ!あ、あ、ごめんね!!そ、それで〜〜〜その・・・・・・」 ――――なんでココに呼び出したの? なんて。 そんなことは愚問と分かりつつも、千尋は聞いてみる。 別に、早く告白が聞きたいわけではなくて、ただ。早く。 ・・・・・・この場から逃れたいっ・・・・・見つからない、うちに・・・・・・・。 その思いで一杯だったから。 「えっと・・・・・・それで・・・・・・・あー・・・・・・」 うううう、早く〜〜〜〜っ!!!!! 少年の方は呼びだしたにも関わらず、未だ決心がつかないご様子で、あーでもないこーでもないと、言葉を濁し続けている。 もちろん、千尋の答えは一つしかない。 『ごめんなさい』 コレだけだ。 だから、早く、早く早く。少年が言った言葉に対して答えはコレしかないのだから、早く言ってこの場を離れたい。 少年が言葉を濁してから、かれこれ4分は過ぎただろうか。 「俺・・俺、前から・・・・・。」 やっと、待っていた言葉が紡ぎだされてきた。 あああああ〜〜!!もっと早く言ってぇぇぇ!!!!! もう、こちらの準備は出来ている。後、もうちょっと・・・・・・・!!!!! 「俺、前から荻野の事が・・・・・・・・!!!」 ・・・早く、早く・・・・・・!!!! 「好・・・・・・・・・っ・・!!!!???」 ――きだ。そう、彼は言おうと思ったに違いない。 が。 ・・・・・・・・・え? 途中で、止まってしまっている。 なに・・・・・・・・・・・? ゴクリ、と嫌な予感を背中に感じながら、千尋は唾を飲み込んだ。 「あ・・・・・・俺、なんでもないわ!荻野、お前とはいい友達でいような!!」 「・・・・・・・・・・・え?え?」 ツツっと汗が背中を伝っていく。 ハッキリ言って、凄く不自然な少年のその言葉。今の今まで高潮していた顔も、さっと蒼白のソレに変っていて。 ま、さ、か。 「じゃなっ!!!!!!」 あ――――――!!!!待って!!!!!ズルイ―――――!!!!!!! 嫌な予感がとうとう本格的になったのに対して、先に逃げ出した少年を裏切り者、と感じながら。 「・・・・・・・・ち、ひ、ろ?」 ピキィっ!!! あ・・・・・・・・あわわわわわわわわ・・・・・・・!!!! コレは、夢、夢・・・・・・そう願いたいと思いつつも―――ポン、と。右の肩に乗った、彼の左手の冷たさに。 ―――死んだ、かも・・・・・・・・・・・・・・・・・。 現実が――――そして、今時分がどの状況に立っているのか―――― 「どういうこと?」 この言葉に答えるべく、千尋は嫌でも把握せざるをえないのだった。 |
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