(4)
「ビーデルさんっ!!!!!!!!!」


人目を気にする余裕なんてなかった。


ダンっ!!!!


光にあてられた彼女の体を空中で受け止めた。


「悟、飯く・・・?」

「なにやってるんですかっ!!!!!!!!」


ビクン!


抱えた彼女の体が、大きく震え、た――――





『――――――今日はジェットフライヤーじゃないみたいだぜ』


校内だから、と普通の人から”走っている”ように見えるよう駆けていると、不意に階段の上から声がかかった。


『ビーデルだろ?』


シャプナーだ。


『なんかアイツ最近変だろ?俺達と話してても急に考え込むしな。』

『・・・・。』


返事は出来なかった。それが自分のせいだとは思いたくも無かったし、これから掴まえに行くのにそんな事を知りたくなかった。


『門を肩落としながら歩いて出るの見たぜ・・おい、悟飯。ちょっと。』

『え』


トン、と階段を飛び降りるようにシャプナーが自分の元へとやってきた。


『泣かすなよ、あいつ。』


耳元で、そう言われた。『大事な仲間だ』そう、釘をさされたような気がして一瞬戸惑う。


『仲間』


その言葉に負けてはいられない。


もしかしたら、今日、『仲間』から自分が外れるのかもしれなくても――――――


『僕は、彼女を泣かしません。絶対に。』


シャプナーにキッパリと言った。


ひゅう、と口笛を吹きながら『言うな、お前』とシャプナーが言う。


『頑張れよ』


最後に加えられたその一言に、ニコ、と笑いながら教えてくれたビーデルの道筋を辿って走って行った。





そして




あ、と。見つけた時には



「きゃ・・・・・・・・!!!!!!」



悲鳴に近いビーデルの声。



――――――!!!!



「あぶないっ!!!!!!!!!!!!!」



叫んだ瞬間、止めた体が身体が爆発的に動いた。人目を気になんてしていられない。


ザァっ・・!!!!!!!!!!!


通りを越えた向こうの歩道に、ビーデルを抱え込んで滑り落ちる。
とっさに飛ぶ事は止めて、悟飯は落ちる事を選んでいた。


キキーーー!!!!


「気ぃつけろー!!!!!」


乱暴に去っていくバイクを見ながら、助けられた事にほっと胸を撫で下ろした。


・・・よかった・・・・・・


心臓が死ぬんじゃないかというほどバクバクしている。


ぎゅ、と腕の中にいるビーデルを確かめるように、悟飯はもう一度抱きしめる、と――――


「なにやってるんですかっ!!!!!!!!」


悟飯は、心の底から、腹の底からビーデルを叱り付けたのだった。


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