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・・・・・・・トン。 道路の真ん中でいつまでも見世物になっている気はなかったから、ビーデルの気が戻った瞬間近場に合ったこのビルの屋上まで飛んだ。 に、しても・・・・・ ビーデルはその間――――付いてから今も、言葉を発せようともしない。自分を見る事だって、さっき一度、確認する為に見ただけだ。 なんだか、それも。 ・・・・む。 無性に、腹が立った。 別に、彼女は自分の物でもないし、そう言う間柄でもないから、こんな事思うのは間違ってると分かってる。 ―――でも。 今までの、事とか。 事故に遭いそうになった瞬間の心配、とか。 自分を見た後の彼女の態度、とか。 色んな想いが混じり合って―――――――― 「・・・どうしてですか。」 思わず、態度に出てしまった。 力一杯抱きしめて抱え込んでいた腕を、ビーデルが離れていかない程度に緩めて話す。 「あ・・・・離・・・・」 「離しません。」 あなたが話すまで。 含ませた言い方で言うと、伝わったようにビク、とビーデルも体を震わせた。 怖がらせるつもりはない。 でも 離すつもりも無い。 「「・・・・・・・。」」 無言の時が、続く。 屋上に降り立って十数分。 会話の無いまま、二人はそこに居続けた。 広がる夕闇が濃紺の空に変わっていくまでそう時間はかからない。 「・・・っくしゅん!」 ――――――っあ。 「寒い、ですか・・・?」 「あ・・・うん、ちょっと・・・」 闇に降りる寒気でビーデルがくしゃみをすると、ようやく閉じていた口がお互いに開い、て。 ・・・・ちょっと頭に血が上ってたかもしれないな・・・。 ようやく、悟飯も冷静になれたのだった。 時刻は午後7時を指そうとしていた。 |