<あいくるしい> -4- |
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さよなら。 そう言われた後、心が壊れるかと思った。 さよなら、とは。 どう言う意味で言ったのだろうか。 言葉どおり、『今日は帰る』の意味で言ったのだろうか。 それとも もしか、して この関係に、別れを告げたのだろう、か――――― ドキン、ドキンと身体の末端が凍っていく感覚になる。 呆然としてどのくらい経ったのだろうか。 「・・・・・・・・・!!?」 ハ、とビーデルの乱れた気を感じた。 「ビーデルさん・・・・?!」 瞬時に昨日見たテレビの様子を思い出した。 泣いた彼女を見かけて変な気を起こした奴がいるかもしれないと唐突に思った。 もし もし、今彼女のもとに、見知らぬ男がいたら。 絶対に・・・・・・ 「・・許さない。」 バシュっ!!! 悟飯は、ビーデルが自分の元から離れて行った時間を埋めるかのように、猛スピードで彼女のもとへと 駆け抜けていった。 ・・・・・ビーデルさん・・・! 人並みが自分の視覚の邪魔になる。気だけを頼りにその場につけ、ば―――――― いた。 ビーデルだ。 「あ・・・・」 そして、もう1人。 「・・・・・!」 中年の男が、ビーデルの肩を抱いている。 無理やり、その近くにあるどこかに連れて行こうとしているようだ。 ・・・ブチ・・ 切れそうだった。 思わず、超化してしまいそうになるくらい、理性を失いそうだった。 バッとその二人の前に飛び出すと、怒りに震える声を抑えて離せ、と言った。 「なんだ、君は・・」 「二度は言わない・・・・離せ。」 自分を恐れながら言う声に、キッパリとそう告げた。 その横には、ポカンとして自分を見ているビーデルがいる。 その肩には、男の――――――― 「・・・離さないなら離してやろうか?」 ぐ、と掴む。 取り立てて、強い力で掴んではいないし、そんな事をしたら普通の人間は骨が砕けてしまうだろう。 だから、自分にとっては小石を握るくらいの気持ちで掴んで引っぺがした。 「うわ・・・・・・・!!」 自分の迫力に負けて、転がるようにしてその男は去って行き――――後に、残るは。 「・・・え?」 なんで、といわんばかりに自分を見上げるビーデルだけだ。 聞きたいことは山ほど。 言いたい事もそれ以上に。 でも、もう、とにかく。 男も、女も。 自分以外の目が、ビーデルを見るのですらも嫌になっていた、から―――― 「僕は、ここに居たくありません。」 「・・へ?」 その言葉だけを告げて、悟飯はビーデルの身体をガシっと掴むと空高く舞い上がり。 「ちょ、待っ・・・・んぷっ・・・・!!!!!」 彼女の限界以上のスピードで、空を突っ切っていった。 |
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