<あいくるしい>

-7-





「あなたを。いやらしい目で見る男がいると・・・知ってしまったから。」


え。


え。え。


ビーデルさん!と。大きな声で言われた時、心臓が止まるくらい跳ね上がった。


もうダメだと思っていた。本当に――――――お終いなのだと。


だから、その言葉は自分が先に言いたかったのだ。

嫌がられて、迷惑がられて――――挙げ句の果てにそんな言葉を言われたら、もう二度と立ち直れない
気がした。

きっと、友達にも二度と戻れないと――――思った、から。


さよなら。


そう、自分から告げようと口を開いたのだ。


なのに。


大きな声で驚いた瞬間に、泣き顔を隠していた手の平を地面に押し付けられた。


そして


その後に出た言葉が。


自分をHな目で見る男の存在を知ったからだ、と。


その言葉だった。


「・・え・・・・?」


拍子抜けした声で返答してしまえば、悟飯はバツの悪そうな顔をして、どんどん言葉を付け足していく。


「・・見たんです、昨日、テレビで・・。あなたの・・その、顔や身体で判断している男がいるところを。」


・・・・え?テレビ?!


「僕は、今迄そういう男がいるなんて夢にも思わなかった・・。許せなかったんです。他の男が、
あなたをそんな目で見るのが。」


――――――え


「あなたを、そんな目で見て良いのは、僕だけだと・・・思ったから。だから」


変に意識してしまった、と。


「・・・すみません。・・・ビーデルさんを傷つけるつもりは・・なかったんです。」


そこまでいって、謝る悟飯の姿。


もう、なにから言ったら良いのかーー――――――――


嫉妬してくれて、いたのだ。


自分を見て、性的な想像をする他の男に対して――――独占欲を、だしてくれていただけだったのだ。


だから。


「・・わ・・っ・・わたしのこと・・・嫌いじゃない・・の・・・?・」


嬉しくて。


もう、なにから言ったら良いのか分からないほどに、嬉しくて。


間抜けな言葉を、返して、しまって、いた。


「・・・・好きです・・・・たまらないくらい、好きです・・・」


あなたが。


「・・・ごはっ・・・!」


逸らしたいくらい熱い眼差しに、心の奥の奥までとかされそうな熱い想い。


気付いた時には


「・・・・ぁ・・んっ・・!」


どちらともなく、口唇にその想いを乗せて、深く重ねあっていた。


「・・・ビーデルさんは、僕だけの・・・っ・・」


・・・・・あ・・・!!!!


深い口付けの後には、濃厚な繋がり――――――――



陽が落ちる。


夕闇が途切れて空が閉ざされて―――――暫くするまで。



「あっ・・・・・あっ・・ぁあっ・・!!!!」



今日一日の誤解をこれでもか、と言うほどに肌と肌で溶かしていったのだった・・・。





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