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「ごめんっ・・・・今日、自習!」 ガタン!!!! 飛び出していった久美子の様子に、自分以外の連中がガヤガヤと騒ぎ出した。 「な・・・・なにっ!?ヤンクミどうしちゃったのよ!?」 「なんか・・・顔赤かったよな?もしかして・・・風邪とか?」 「でもさぁ、なんっか様子変だったよなー。朝から不自然だったような・・・」 口々に騒ぐその言葉に、ふ、と再び頬が緩む。 『久美子』 そう、唇でつづりながらふふっと笑えば、計算どおり固まった――――教壇の前に立つ、久美子、に。 騒ぐ周りを気にしつつも気持ちが抑えられなくて、思わず緩みそうになった頬を手の平でかばい隠す。 ・・・やべ、止まンねぇ・・ 「・・・慎?」 ちょちょ、っと小突かれた右隣を見れば、お前じゃないの、とでも言いたそうなクマの顔。 「早く、いけよ。」 呆れたような、でもこの恋を応援している、とでも言うようなニュアンスの言葉をクマからもらえば。 「・・・わり。行って来る。」 「おうよ。」 くまにだけ聞こえるように、そう呟いて―― ガタン・・・・・・! 騒ぐ教室が、いっぺんに静まり返るように立ち上がれば、久美子が出てったドアの方へとゆっくりと歩いていく。 「慎!?どこいくんだよ??」 立ちはだかるようなクラスメイトの言葉、には。 「・・・内緒。」 謎めいた言葉を残して―――――慎は廊下へと、姿を消していった。 パタパタパタ・・・ 走っていく足音だけが、教室に残れば―――― 「・・・・・なんっか、超笑ってる慎見たの俺初めて・・・」 「俺も・・・」 「お、俺も・・・・・」 「退学取り消しでここ、戻ってきた時より笑ってたよなぁ・・・・」 「「「「 怖ぇ・・・・ 」」」」 ぷっ。 怖がるクラスメイトの姿を見て、思い当たりがあるクマは一人、笑いを堪えているので、あった。 そして 急いで走ってついた、資料室の、前。 カチャ・・・ ドアを、そっと開けて、見える後姿を前に後ろ手で扉をそっと閉めれば―― 「・・慎の、馬鹿っ!!!!」 ぐる、っと自分の方へと椅子の背もたれに体を逸らした久美子の視線と、目があった。 自分を馬鹿、といいながら上下逆になった彼女の顔は真赤に染まって、愛らしくて。 「・・・馬鹿で悪かったな。」 もう、抑えきれない――――・・・・ 頬を緩ませながら、慎はそう言うと、スッと久美子のほうへと足を伸ばす。 「・・・なに、やってンの・・・」 驚く久美子の表情に、ますます頬が緩んで、いった。 |
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